恋とおやつ手帖


PROFILE

ばんばりえ

主婦ときどきライター。
ご近所専門オーダーメイドケータリン
グ『キッチンよもぎ食堂』を主宰。お
教室に習いに行くほどプロレスに夢中
な40代を過ごしています。好きなおや
つはブッセ、うにせん、麦チョコ。好
きなごはんは蕎麦と白米とピーマンの
肉詰め。好きな場所はお布団の中。
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さくいん
フカフカ系人間の考える進化
?人は悩み事を増やすために進化してるのではないか、とも思う土曜日の午後。
進化が手段であることなど、平たい土地のフカフカした椅子の上に座ってるわたしには、見えていない。
進化が生きる手段であった時代もあって、しかし、大抵のフカフカ系人間にとっては、気付けば進化は目標だったりしないだろうかなー。

目標になると、ずいぶんと柔らかい。フカフカ系人間にとって、それは、自分という生き物の輪郭を保つために必要だと思っているものだったりしないだろうかなー。
世の中に対してそんなに自分の輪郭がクリアーでなくても良い気もする。輪郭合戦で、じゃあ誰の輪郭もオリジナリティ溢れて遠目でも区別が付くかといったらさ、うーん、みんな疲れてるのは遠目でも。

好きな人ができてからときめけばいいし、好きな事ができたら頑張ればいいし。

それまではのんびり、心穏やかに、探さずに眺めたり、欲せず整理整頓したりでも良かないかな。

悩み事なんて無駄に増やすもんじゃないよ。部屋が散らかる。
| - | 15:21 | trackbacks(0) |
【キレイファイター12】 「ことり」選手に聞く、愛するということ


第12回キレイファイターは、我闘雲舞の生え抜き第1号「ことり」選手の登場です。小柄な がら、3歳から続けてきた柔道殺法とスピードを武器に、大柄な男子選手とも渡り合ってきた 団体一の技巧派。負けん気の強さとうらはらに誰にでも親切で優しいことは有名。その優しさと行動力で、団体の元気を牽引してきたムードメーカーでもあります。そんな彼女がプロレス卒業を発表。これまで子供っぽさの後ろに隠れていた「ことり」選手の大人な愛情のカタチを探ることで、2017年の終わりの12月、みんなで誰かを愛するということについて考えてみませんか。



友達と喧嘩になった時は
自分が先に折れてもいいかなって
いつも思ってます


――わたし、「ことり」選手は「愛されていて自信のある女の子」だと思っていました。


自信?? いや、いつも不安。自分の試合では直前まで、ほんとに部屋の隅っこにいますよ。ひとりで隅っこ。リングに上がってしまえばもう平気なんですけど。





――直前の直前に緊張して自信がないのは、誰でもそうなんじゃないですかね。私が言いたいのは、「日常に自信がない女の子」の顔をしていないってことなんですよ。


ああ。普段は違うかもしれないです。誰かといると一人で喋っちゃってるし。むしろうるさいです。ふふ。


――ふふ。小柄で元気で可愛くて無邪気で優しくての愛されキャラ。キャラがコンパクトにまとまっていて、わたしの中ではそこで気持ちが止まってたんです。無邪気さが大きいあまり、リングの上の笑顔も涙も、その一部としてしか受け取れなかった。でも、新宿FACEの里歩vs「ことり」戦(以降、ことりほ戦と記載)は今までと全然違ってたんです。試合後から何かモヤモヤして、1週間以上まいにちまいにち2人のこと考えてました。2人は何が違うんだろう? って。


ああ…。


――でも、その違いは技術とかキャリアとか、里歩さんのほうが優れてるとか、そういうことじゃないんです。


え?


――2人のレスラーの違い、ではなくて2人の女の子の違い。2人の女の子の愛情とか優しさとか。


あの試合から感じたのが、愛情とか優しさですか??? えー、でも、今日のテーマ「愛するということ」ですもんね。愛。愛。


――優しさから見える愛というか。つまり、19歳の女の子から「優しさ」とか「愛」が見えちゃったから、お話を聞きにきたわけなんですよ。愛されてる女の子の枠に入れて見てたけど、確かに愛されキャラだけどそればかりの女の子じゃないらしい。1週間まいにちまいにち考えて出た答えが、「ことり」選手の優しさって、ここぞという時に相手を許してしまうこと、なんじゃないかなって。


ぅひゃぅひゃひゃッ……あぁー…なんか、んー。ふふふ。


――そんな、分かりやすく図星でしたみたいなリアクション! 図星ですか?


ひひひ(照)


――負けて悔しくてリングを先に降りるとこ見たことないし、泣きながら対戦相手のベルトを巻いてあげるし、いつも不思議な気はしてたんです。負けん気が強くて有名だけど、口で言う程「自分が一番でないと嫌」な人じゃないんだなって。ある意味アンバランス。なんだろう?って考えてたら、そういう優しさ。自分で思い当たることありますか?


自分が一番でないと嫌、ではないですね。へへ。友達と喧嘩になっちゃっても、自分が先に折れてもいいかなっていつも思ってます。実際、ごめんっ!って言っちゃう。自分が悪くなくても言っちゃう。揉め事増やしたくないんです。だから自分が先に謝りますね。ごめんねっ! って。謝って許してくれないときはぁ……ごめんって言う。「ごめんっ、ごめんっ」って謝り続けます(笑)





――許さなくていいとこで許しちゃってる。平和主義ですか?


平和主義ですね。ほんとは喧嘩とかあんまりしたくない……。喧嘩きらいなんです。相手が人として間違えてるとかじゃなければ、意地の張り合いで続けるみたいの意味ないなーって。


――まあ、女子は自分に非があっても折れてくれないですしね。男子も女子も同じくらい許しちゃいます?


男子には結構甘いですねぇ。柔道の道場ってほとんど男の子で、ほんの数人いた女子の先輩が卒業しちゃうと結局自分だけなんです、女の子。だから男に囲まれて男の中で育った的なとこもあって、男子は友達っていうより仲間って感じで、友情的な気持ちが強いからついつい甘くなっちゃいます。


――女子には?


どっちかというと女子には厳しいほうです。小学校くらいから相談され役なんですけど、恋愛相談とか人間関係とか、部活の相談とかいろいろで。相談されるとね、やっぱりほっとけないじゃないですか。友達が元気ないと心配だし。でも、あぁ…もぅ…この子はぁ〜〜みたいなの多くて「そんなんだったらやめちゃえば」とかハッキリ言うのは女子相手でしたね。ほっとけないんだけど、多少面倒くさくなっちゃう感じというか……。


――で、女の子が不機嫌になって喧嘩ぽくなったら…?


自分が謝っちゃう(笑)





自分を大切にしてくれる人たちには
自分を理解してくれてるかどうか
考える必要がないんです



――そんな「許してしまう優しさ」の印象を持って、ファンの前で卒業発表する「ことり」選手を市ヶ谷で見たわけなんですが(10月29日)。あの日は優しさよりも愛情が目立ったように思えました。全方向に溢れ出す無邪気な愛情ではなくて、体の中に押し留めたような感じ。「守られて愛されてきた無邪気な女の子」はそこにいなくて「愛する女の人」が立ってた。大人っぽくて笑顔がきれいでした。


えぇー、へへ、どうですかね。でも、プロレス卒業を決めてからずっと色々考えてはいます。





――たとえば?


いつも考えてるのは、自分は泣いちゃいけないんだろうなってことです。みんなが笑顔でいてくれることが自分のすべてなんです。日常の生活もプロレスも。みんなが笑顔じゃないと自分が自分でいられない。


――自分を囲む人たちみんなが愛する対象だなんて、すごくかっこいい。ここで「好き」について細かくお聞きしたいのですが、 (a)ちょっと好き (b)すごく好き (c)すごく好きでとても大事=愛する 好きの種類を3つに分けた時、この3種類はどう違うものですか?


「すごく好きでとても大事」は自分を大切にしてくれる人ですね。たとえば家族とかガトームーブのみんなもこっち。ずっとお世話になってきたし、大切にしてもらったから。「すごく好き」は……自分を分かってくれる友達や幼馴染み、男女問わず自分を理解してくれる人。「ちょっと好き」とかフツ―の好きは知り合いの人たちです。だからプロレスラーの人たちは「すごく好き」。


――自分を大切にしてくれる人と自分を理解してくれる人は、似てる気もするんですが。


共有した時間の違い、ですね。自分を大切にしてくれる人は、自分を理解してくれてるかどうか考える必要なくて。だから家族とか家族レベルの人なんです。





――そっか、ここに自信の源があるのか。自信をもって大切にしてもらえる。代わりに自分も自信を持って大切にできる人たち。


はい。自信を持って。


――大人でも3つの好きを上手に分けるの難しいと思うんですよ。「すごく好きでとても大事」が一方的に親密な距離感であることも多くて、自分の気持ちを伝えることに夢中になると「あげるばかりの人」と「もらうばかりの人」のアンバランスな関係になってしまったり。


それ、収拾つかなくなっちゃいますね。ワーーッてなっちゃいそう。


――なっちゃいますねー。バランス悪いから相手の気持ちと自分の気持ちを量りたくなるし「すごく好き」が「愛されたい」に変わってしまうし……、結局「すごく好きな自分の気持ちが大事」になりがちなんですよね。でもそれって、そもそも距離感が見えてないということが分かりました。「ことり」選手は愛情を持ってる相手に自分が好かれていないこと、ありますか?


あります。でもそんな時は別にいいかなーと思ってるんです。離れていっても戻ってくる人なら仲良くなれるだろうし、離れてく人はその人に事情があると思うし、その時自分が必要ないのなら別にいいかなって。引き留めても意味ないって思っちゃいます。


――もしも、相手にとって自分が必要だと分かったら?


寄り添いますね(キッパリ)。反対に相手にとって自分が必要ないと分かったら……(パッと手を離す)。元気でいてね、という気持ちでいます。


―はっきりしてるなー。しかも、いつでも寄り添う準備はできてるだなんて。正直潔すぎてびっくりしてます。





元気ないなーと思ったら声をかける。
あとは、笑います。


――好きの種類を3つに分けてもらったところで、次は好きの表現の仕方を教えてください。 「好き」「すごく好きでとても大事」をどんな風に表現してますか?気持ちはあっても上手にできないこと多くて……。


……表現、というか行動ですね。「すごく好きでとても大事」は、自分はモノをあげます。両親の結婚記念日にはケーキとお互いに1本ずつのバラをあげるとか、祖父母の結婚50周年にはごはんを食べに出かけて全部自分が払うとか。サプライズしたがりなんです。喜ばせたいから誕生日記念日は必ず。何しようかなってずっと前から一人で考えて一人で決めて、それがすごい幸せですね。何でもない日でも、母が好きな向日葵を見つけたら買っちゃうし、もう、なんかいろいろ!家族には19年間ほんとにいろいろしてもらってきてるので。





――「いろいろしてもらった」ってよく出てきますね。大抵の人は結婚式で手紙読むときに初めて溢れる気持ちなのに(笑)。 周囲の人に良くしてもらってる、優しくしてもらってると常日頃から感じて感動してる女の子って、めずらしいですよ。その常々思ってる気持ち、体の体積で表すと、大体どの辺りまで詰まってますか?


このへんですかね?(口のあたり)


――確実に溢れてますね。


ああ、でも、やっぱりこのへん!(鼻の上)


――そこいくと、鼻から出ちゃう愛に!


くぅぅーーーッ。でもぉ、地元の美味しそうな食材見つけるといつもごはん作ってくださる帯広さんにって思っちゃうし、この雑貨喜びそう! とか、この帽子きっと似合う気がする! とか、群馬のだるまは縁起がいいから事務所に置いてもらおう! とかなっちゃうんです。ほんとにフツ―に自然と、そうなっちゃうんです。出ちゃうんです、鼻から! (笑)


――仲のいい友達に対してはどうですか?


友達は、元気なさそうな時にはその子の好きな食べ物買ってって「元気出してな」ってあげたりします。




――自分が必要な時バージョンですね。一般的な知り合いや友人にはどんな表現をしてますか?


表現は、言葉ですね。元気ないなと思ったら声をかける。あとは笑う。


――笑う?


自分が笑顔でいれば相手も笑顔になるから。とにかく自分の周りにいる人みんなに笑顔でいてほしいんです。みんなが笑顔じゃないと自分が自分でいられない。だから、自分が笑ってそれでも笑顔になってもらえない時とかは……何か、何か考えます!





自分の時間は削っても
大切な人たちとの時間を大事にしたいです



――10代は目まぐるしく変化する年頃ですけど、18歳と比べて19歳の今、周囲の人に対する気持ちに変化はありましたか?


高校卒業を機に免許を取ったり上京したのは大きいですね。帯広さんとアーサちゃんと同じ寮だったので寝る前にたわいもない話で笑ったり、里歩さんとお出かけしたり、試合後にみんなでお喋りしたり、そういう時間が増えたことが嬉しかったです。反対に家族といる時間はすごく減ってしまったので、どうしてこんなに寂しいんだろう? って思うくらい寂しかったですけど。。





――距離と時間が逆転したんですね。


離れたからとか近づいたからとかで、家族やガトームーブのみんなを好きな気持ちが増えたり減ったり変わったりしたわけじゃないけど、環境が変わったことで生まれた新しい感情みたいなものはあった気がしますね。


――自分がいないことで誰かが寂しがる気持ちとか?


ですね。家族に電話したくなる気持ちとか、みんなと写真撮りたくなる気持ちとか、自分の今まで話したことない話を聞いてもらいたくなる気持ちとか。いろいろ。そういう意味では何か、何かは変化したのかもしれないです。


――すごく好きで大事な人とはいろんな時間を共有したい人だから、群馬にいても東京に居てもどっちでも時間が足りなそう。たとえば。自分の時間を削っても大丈夫なほうですか?


はっ、はい!


――今、カクカクってすごい動きして前出てきたー! (笑) 今日イチ、チカラ入ってましたよ。カクカクカクってね、震えたんです。で、高速で頷いてた!


へへ。ははー(照)。でも、自分の時間は削ってもいいんです。自分の時間は削っても大切な人との時間が大事。





――許しちゃうし、削っちゃうし、あげちゃうし。こっちゃんは優しい、とみんなに言われる所以ですね。話は最初に戻りますが、新宿FACEのことりほ戦で「「ことり」選手はここぞという時に相手を許してしまう優しさの持ち主」だと感じた。と、同時に「里歩選手はここぞという時だからこそ、相手を許さない優しさの持ち主」ではないかと思ったんです。


里歩さんとわたし、真反対なんです。


――同じ団体なのだから、違うポジションの違う2人でいいんだと思ってました。でも、その後の卒業発表をした「ことり」選手は新宿FACE大会で見せた顔をもうしていなくて、ああ、この人はもう「ここぞという時だからこそ、きちんと許さない」かもしれない。と思わせた。一歩踏み出した気配がしてました。あの時19才の女の子が変わっていくことが誇らしかったし、頼もしかったし、それを今日確認できてよかったです。このカラダいっぱいの愛を持って優しさを持って次の場所へ行く、その場所で「ことり」選手に関わる人たちはとても幸せだろうなと思います。わ、ちょっと泣きそう……。


泣いちゃだめだめ(笑)。笑って。いつも笑っててください☆





「ことり」(ことり)
1998年群馬県生まれ。2013年2月23日にプロレスリング我闘雲舞から15歳でデビュー。2016年に第3代アジアドリームタッグ王座を戴冠。シングルベルトを賭けた里歩との試合は10代シングルマッチの最高峰と呼ばれたほど名勝負が多い。「ことりほ」を始め「ことりトン」「ちっちゃいものクラブ」「カオマンガイ」など、男子女子問わず多くのタッグチームを持つ、隠れタッグ屋気質でもある。2017年12月21日新木場1st.ring大会をもって、プロレスを卒業する。

| キレイファイター | 21:30 | trackbacks(0) |
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