恋とおやつ手帖


PROFILE

ばんばりえ

主婦ときどきライター。
ご近所専門オーダーメイドケータリン
グ『キッチンよもぎ食堂』を主宰。お
教室に習いに行くほどプロレスに夢中
な40代を過ごしています。好きなおや
つはブッセ、うにせん、麦チョコ。好
きなごはんは蕎麦と白米とピーマンの
肉詰め。好きな場所はお布団の中。
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さくいん
人生フルーツ

迷うことはたくさんあるけれど、箇所箇所で人生の先輩が現れるから大丈夫。学校の先生や会社の先輩、本を開けば会える言葉たち。そして40代の半ば、津端修一さんと津端英子さんに出会った。90才と87才の建築家夫婦の暮らしを映すドキュメンタリー『人生フルーツ』。

戦後最大の都市計画と言われた高蔵寺ニュータウンを設計した修一さん。その後も幾つもの団地やニュータウンを手掛け、その世界ではとても著名な人なのだそうだ。物語は畑と雑木林と30畳のワンルームの家で営まれる、老夫婦2人の暮らしを淡々と追いかける。ごはんのシーンが多い。収穫のシーンが多い。合間に高蔵寺ニュータウン着工時の話がはさまれる。

団地好きの友人の影響で最近すこし団地びいき。桐が丘団地と赤羽台団地は時折歩きに出かける。修一さんがちょいちょい「雑木林と風の通る道を提案していたのにな」と漏らしていたことを思い出し、映画が終わってから友人に昨年から用事で通っている「板橋サンシティ」の話をする。もしかしたら修一さんの言う「雑木林に囲まれた巨大住宅」はこれじゃないだろうかと。サンシティ板橋の竣工は1980年代。ベビーカーのママたちと多くすれ違うこの大きな町は現在も生きていて、どうやらここで育った子供たちが親になってまた戻ってくるのだとか。「2世帯近居」という言葉も生まれているらしく、知らないところで新しい暮らしが育っていたことに驚く。

人生の先輩の仕事からつながるものが、近所にあったなんて、歴史を見ているような不思議な気分。人生フルーツ鑑賞済みでニュータウンに触れたくなった友人たちを、サンシティ板橋に誘いたいな。

| 本とか音楽とか | 12:35 | trackbacks(0) |
【読書とフードー2】トラネコボンボンのお弁当

できるなら自由でいたいと思っている。

勤め人でないわたしの体にも、幼稚園時代から長々「お隣の人と揃えましょう」の心が埋め込まれていて、気付くと人に合わせて疲れている。

SNSの文章だって
「面白くなくても目立たず騒がず」
に寄せがち。

お弁当も「きれいに」詰めたくなる。

「きれいに」は「センス良く」は無理だからせめて…の妥協点で、本当は枠からはみ出せない不自由なわたしそのものだ。




トラネコさんは自由なの。
もう、四角く詰めたり
また、丸くも詰めたり
おきたい場所に、好きな具材を、にぼしなんかをちょんと貼ったりして。

三角のおにぎりと丸い揚げ物もりもり、隙間くらいあるだろうって投げ入れた疑惑ぐらい力抜けてるの。


トラネコさんと比べてみたら、大して自由じゃないー。これでも、普段よりは陽気な皿なんだけどさ。

固さと重さが残っておる。うーむ。

| 本とか音楽とか | 11:55 | trackbacks(0) |
【読書と食ー1】おばちゃまは飛び入りスパイ

ダイエット連載を始めて4ヶ月。

たくさん食べないグセがついてしまった。

連載主役のさくらさんは毎日、パンばかり食べているというのに。1日中パンばかり、というかパンのみ10日間も!いや、さくらさんの話は今日はいい。今日は本とごはんの話。

ダイエットの布石で、たくさん食べないグセがついた。どうやら人はそんなに食べなくても大丈夫らしい。連載4カ月で少しずつ確信を得ましてね、お昼はおにぎり1個。炭水化物は脳が動くし、おにぎり1個だと眠くならず考え仕事には最適です。

その1個を少しずつ、ひと口以下ずつ、大切にゆっくり長く噛む。その時、わたしはいつも『おばちゃまは飛び入りスパイ』の逃走場面を思い出す。






―ペチコートのポケットに手を入れて食物を探した。水ですっかりやわらかくなったチーズしかなかった。パンは全部水にさらわれて、あとかたもなかった。ピストルもぬれている。水につかったピストルは使いものにならないことをミセス・ポリファックスはおぼろげに思い出した。彼女は頭をひねってジーニーが食べるのを見た。少しでも長く食べられるように、ゆっくり少しずつ、かんでいる。―




アルバニアの石の要塞から逃げ出したおばちゃまがポケットに残った僅かな食物をジーニーに渡す場面。最後の食事かもしれない、という思いがよぎりつつも、登場人物は明日が来た時のために食べ物のかけらを胃に送り込む。



「3食食べなさい」「たくさん食べないとダメよ」と当たり前のように刷り込まれてきた毎日の食事が「必要な時に必要な分だけでいい」という意識に変わった。少なくとも食べるための収入が確保できている今、日本で、東京で、お腹が空いたら100円で空腹が補えるのだから体内に過剰な貯蓄って必要ない。貯蓄はコインで貯金箱に。




といいつつ、昨日はピンチ到来。

資料探しに出かけた大型書店で、地下1F〜9Fまでを行ったり来たり。資料が揃ったところで書店のカフェでひと休みする予定が、作業は難航し、突然のエネルギー切れ…。



大量の本カゴをぶらさげたまま、気を失うかと思った!一刻も早く家に帰りたいわたしは、バス停までの徒歩用に黒糖ドーナツを1つ購入。端っこから少しずつ、噛みくだいて、噛みくだいて、少しでも長く食べられるようにジーニーみたいにゆっくりゆっくり食べる。



本屋のダンジョンで遭難しかけたけれど、すぐそばにコンビニがあって助かった。

ゆっくり食べると消化も良く胃もたれもなし。反省点としては水分摂取を忘れて、うっすら熱中症だったことです。




| 本とか音楽とか | 16:00 | trackbacks(0) |
BOOK and BED TOKYO

『泊まれる本屋』が池袋にあるという噂を聞いていて。
気になっていたけれど
ちょっと敷居が高くて。

お洒落そうなので
おしゃれには少し気合を入れて
緊張しながら住所の雑居ビルに。



エレベーター出たとたん、
目の前にドア。

一応ドアノブをガチャガチャしてみる。

開かない…



左に受付らしいものが。
ここも、最初はクローズしています。
呼び出し鈴をチーンと鳴らしたら
可愛いスタッフさん出てきた。

可愛くてお洒落なスタッフさんだけど
とても気さくな人で、すこし緊張ほどける。

さすが池袋。

だから好きよ、池袋。



壁一面の本棚。
蔵書は多くないけれど
一晩過ごすための場所だもの。

漫画や雑誌、小説などがセレクトされています。



本棚の向かいに深めのソファ。
デイステイ¥500/hで2時間ほど
のんびり資料探し。




宿泊は奥のBUNKと
本棚に埋もれたBOOK SHELF。

本棚の奥にベッドなんてときめくのよ。



この日はゲストが4人ぽっちだったので
窓際のソファでは
みんな靴を脱いでごろごろごろ寝ん。
うち2人は本も開かず熟睡してました。

次回はお隣さんが飲んでた珈琲を頼みたい。

| 本とか音楽とか | 22:00 | trackbacks(0) |
つづきの図書館/柏葉幸子



小学生のわたしが誰かにもらった

『霧のむこうのふしぎな町』

ここから、自分の文章時代が始まっていた気がする。



あれから40年。




世代によって知っている表紙が違う

ロングセラーの児童文学になった物語。



正直クラスの人気者とは言えない

どちらかといえば人見知り

どちらかといえば気おくれする小さな女の子たちは

ふしぎの世界に足を踏み込むことで

自分の感情を相手に見せ

自分で判断することを学んでゆく。



そこにはワガママな王子様や魔女、面倒を言う不思議の生き物たちがいて

主人公の女の子は教育係に任命されたり

旅の同行者になったりする。




あれから40年。






『つづきの図書館/柏葉幸子』

あの頃のわたしたちが大人になったような本作は

『霧のむこうのふしぎな町』『地下室からの不思議な旅』ファンが待ちわびた
あの時代の続編みたいな一冊。



ああ



わたしたちは



おとなになったんだな。

 
| 本とか音楽とか | 12:05 | trackbacks(0) |
肝、焼ける/朝倉かすみ




30代って、きっとこんなだ。

今の30代って、きっとこれそのものだ。

等身大の作家さん登場!とプロフィールを見たら

50代でびっくりした。



どういうことなんだろう。

作者の30代の時代から

ほんとは30代のそれは

何も変わってないのかしら。ね。



主人公たちはみんな、もやもやしている。

若いだけでそこにいるだけで

褒められた時代を脳裏に残して

宙ぶらりんな気持ちになるのだ30代。



宙ぶらりんぶらりぶらぶらしながら

溜息もやりもやり漂わせながら

ラストシーンに向かっていく3人の女たち。



どれもラストの締めかたが好きです。



そのへんはさすが人生の先輩が書いた物語なのかも。







| 本とか音楽とか | 11:05 | trackbacks(0) |
フランスのおやつ


『ママンの味、マミーのおやつ/大森由紀子』

登場するフランス菓子の量がすごいのです。

コロンビエ、メルヴェイユ、ガトー・ピレネー、フィアドーヌ、クルーゾワ、ブロワイエ、ババ・オ・ロムなどなど。しかもその菓子の故郷に出かけて行くのだから、その道中の話も面白い。

さりげなく、フォションでシェフだった頃のピエール・エルメとか、ホテル・ニッコー時代のジャン=ポール・エヴァンのエピソードが出て来るのもドキドキ。

この忙しさを抜けたら旅に出るぞ!って思ってる時に読みたい本です。
| 本とか音楽とか | 11:10 | trackbacks(0) |
レターブック


『木下綾乃のレターブック』

手紙を書くのが大好きな筆者の、加熱する手紙熱から生まれた工夫の数々を紹介。

自分だけの住所印、お気に入り筆記用具、旅先で集めたシーリング、布コピーで作る封筒や便せんなど、今すぐ誰かに手紙を出したくなってしまうはず。

創作物として、一番身近な『手紙』を見直してみるのもよいかもです。
| 本とか音楽とか | 16:15 | trackbacks(0) |
僕のアルバム


『僕のアルバム/植田正治』

1913年に鳥取で生まれ、写真館を営み、生涯好きな写真しか撮らないアマチュア精神を貫いたという変り種の写真家?植田正治。


この写真集に出てくるのは妻ばかり。


妻と妻と妻と四人の子供たちと近所の風景。昔の暮らしがそこにあって、昔の家族がそこにいて、ある夫婦の視線がそこにある。

なんか、いいです。
| 本とか音楽とか | 16:15 | trackbacks(0) |
象のブランコ


『象のブランコ/工藤直子』

詩人の工藤直子さんが、自身の幼き日々を綴ったエッセイ。

第二次大戦敗戦後、台湾から引き上げてきて、
初めて見た日本の桜。
大好きなお父さんとの思い出。

初恋の巻がたまらなく素晴らしくて、きゅんきゅんです。
| 本とか音楽とか | 23:50 | trackbacks(0) |
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