恋とおやつ手帖


PROFILE

ばんばりえ

主婦ときどきライター。
ご近所専門オーダーメイドケータリン
グ『キッチンよもぎ食堂』を主宰。お
教室に習いに行くほどプロレスに夢中
な40代を過ごしています。好きなおや
つはブッセ、うにせん、麦チョコ。好
きなごはんは蕎麦と白米とピーマンの
肉詰め。好きな場所はお布団の中。
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さくいん
【キレイファイター12】 「ことり」選手に聞く、愛するということ


第12回キレイファイターは、我闘雲舞の生え抜き第1号「ことり」選手の登場です。小柄な がら、3歳から続けてきた柔道殺法とスピードを武器に、大柄な男子選手とも渡り合ってきた 団体一の技巧派。負けん気の強さとうらはらに誰にでも親切で優しいことは有名。その優しさと行動力で、団体の元気を牽引してきたムードメーカーでもあります。そんな彼女がプロレス卒業を発表。これまで子供っぽさの後ろに隠れていた「ことり」選手の大人な愛情のカタチを探ることで、2017年の終わりの12月、みんなで誰かを愛するということについて考えてみませんか。



友達と喧嘩になった時は
自分が先に折れてもいいかなって
いつも思ってます


――わたし、「ことり」選手は「愛されていて自信のある女の子」だと思っていました。


自信?? いや、いつも不安。自分の試合では直前まで、ほんとに部屋の隅っこにいますよ。ひとりで隅っこ。リングに上がってしまえばもう平気なんですけど。





――直前の直前に緊張して自信がないのは、誰でもそうなんじゃないですかね。私が言いたいのは、「日常に自信がない女の子」の顔をしていないってことなんですよ。


ああ。普段は違うかもしれないです。誰かといると一人で喋っちゃってるし。むしろうるさいです。ふふ。


――ふふ。小柄で元気で可愛くて無邪気で優しくての愛されキャラ。キャラがコンパクトにまとまっていて、わたしの中ではそこで気持ちが止まってたんです。無邪気さが大きいあまり、リングの上の笑顔も涙も、その一部としてしか受け取れなかった。でも、新宿FACEの里歩vs「ことり」戦(以降、ことりほ戦と記載)は今までと全然違ってたんです。試合後から何かモヤモヤして、1週間以上まいにちまいにち2人のこと考えてました。2人は何が違うんだろう? って。


ああ…。


――でも、その違いは技術とかキャリアとか、里歩さんのほうが優れてるとか、そういうことじゃないんです。


え?


――2人のレスラーの違い、ではなくて2人の女の子の違い。2人の女の子の愛情とか優しさとか。


あの試合から感じたのが、愛情とか優しさですか??? えー、でも、今日のテーマ「愛するということ」ですもんね。愛。愛。


――優しさから見える愛というか。つまり、19歳の女の子から「優しさ」とか「愛」が見えちゃったから、お話を聞きにきたわけなんですよ。愛されてる女の子の枠に入れて見てたけど、確かに愛されキャラだけどそればかりの女の子じゃないらしい。1週間まいにちまいにち考えて出た答えが、「ことり」選手の優しさって、ここぞという時に相手を許してしまうこと、なんじゃないかなって。


ぅひゃぅひゃひゃッ……あぁー…なんか、んー。ふふふ。


――そんな、分かりやすく図星でしたみたいなリアクション! 図星ですか?


ひひひ(照)


――負けて悔しくてリングを先に降りるとこ見たことないし、泣きながら対戦相手のベルトを巻いてあげるし、いつも不思議な気はしてたんです。負けん気が強くて有名だけど、口で言う程「自分が一番でないと嫌」な人じゃないんだなって。ある意味アンバランス。なんだろう?って考えてたら、そういう優しさ。自分で思い当たることありますか?


自分が一番でないと嫌、ではないですね。へへ。友達と喧嘩になっちゃっても、自分が先に折れてもいいかなっていつも思ってます。実際、ごめんっ!って言っちゃう。自分が悪くなくても言っちゃう。揉め事増やしたくないんです。だから自分が先に謝りますね。ごめんねっ! って。謝って許してくれないときはぁ……ごめんって言う。「ごめんっ、ごめんっ」って謝り続けます(笑)





――許さなくていいとこで許しちゃってる。平和主義ですか?


平和主義ですね。ほんとは喧嘩とかあんまりしたくない……。喧嘩きらいなんです。相手が人として間違えてるとかじゃなければ、意地の張り合いで続けるみたいの意味ないなーって。


――まあ、女子は自分に非があっても折れてくれないですしね。男子も女子も同じくらい許しちゃいます?


男子には結構甘いですねぇ。柔道の道場ってほとんど男の子で、ほんの数人いた女子の先輩が卒業しちゃうと結局自分だけなんです、女の子。だから男に囲まれて男の中で育った的なとこもあって、男子は友達っていうより仲間って感じで、友情的な気持ちが強いからついつい甘くなっちゃいます。


――女子には?


どっちかというと女子には厳しいほうです。小学校くらいから相談され役なんですけど、恋愛相談とか人間関係とか、部活の相談とかいろいろで。相談されるとね、やっぱりほっとけないじゃないですか。友達が元気ないと心配だし。でも、あぁ…もぅ…この子はぁ〜〜みたいなの多くて「そんなんだったらやめちゃえば」とかハッキリ言うのは女子相手でしたね。ほっとけないんだけど、多少面倒くさくなっちゃう感じというか……。


――で、女の子が不機嫌になって喧嘩ぽくなったら…?


自分が謝っちゃう(笑)





自分を大切にしてくれる人たちには
自分を理解してくれてるかどうか
考える必要がないんです



――そんな「許してしまう優しさ」の印象を持って、ファンの前で卒業発表する「ことり」選手を市ヶ谷で見たわけなんですが(10月29日)。あの日は優しさよりも愛情が目立ったように思えました。全方向に溢れ出す無邪気な愛情ではなくて、体の中に押し留めたような感じ。「守られて愛されてきた無邪気な女の子」はそこにいなくて「愛する女の人」が立ってた。大人っぽくて笑顔がきれいでした。


えぇー、へへ、どうですかね。でも、プロレス卒業を決めてからずっと色々考えてはいます。





――たとえば?


いつも考えてるのは、自分は泣いちゃいけないんだろうなってことです。みんなが笑顔でいてくれることが自分のすべてなんです。日常の生活もプロレスも。みんなが笑顔じゃないと自分が自分でいられない。


――自分を囲む人たちみんなが愛する対象だなんて、すごくかっこいい。ここで「好き」について細かくお聞きしたいのですが、 (a)ちょっと好き (b)すごく好き (c)すごく好きでとても大事=愛する 好きの種類を3つに分けた時、この3種類はどう違うものですか?


「すごく好きでとても大事」は自分を大切にしてくれる人ですね。たとえば家族とかガトームーブのみんなもこっち。ずっとお世話になってきたし、大切にしてもらったから。「すごく好き」は……自分を分かってくれる友達や幼馴染み、男女問わず自分を理解してくれる人。「ちょっと好き」とかフツ―の好きは知り合いの人たちです。だからプロレスラーの人たちは「すごく好き」。


――自分を大切にしてくれる人と自分を理解してくれる人は、似てる気もするんですが。


共有した時間の違い、ですね。自分を大切にしてくれる人は、自分を理解してくれてるかどうか考える必要なくて。だから家族とか家族レベルの人なんです。





――そっか、ここに自信の源があるのか。自信をもって大切にしてもらえる。代わりに自分も自信を持って大切にできる人たち。


はい。自信を持って。


――大人でも3つの好きを上手に分けるの難しいと思うんですよ。「すごく好きでとても大事」が一方的に親密な距離感であることも多くて、自分の気持ちを伝えることに夢中になると「あげるばかりの人」と「もらうばかりの人」のアンバランスな関係になってしまったり。


それ、収拾つかなくなっちゃいますね。ワーーッてなっちゃいそう。


――なっちゃいますねー。バランス悪いから相手の気持ちと自分の気持ちを量りたくなるし「すごく好き」が「愛されたい」に変わってしまうし……、結局「すごく好きな自分の気持ちが大事」になりがちなんですよね。でもそれって、そもそも距離感が見えてないということが分かりました。「ことり」選手は愛情を持ってる相手に自分が好かれていないこと、ありますか?


あります。でもそんな時は別にいいかなーと思ってるんです。離れていっても戻ってくる人なら仲良くなれるだろうし、離れてく人はその人に事情があると思うし、その時自分が必要ないのなら別にいいかなって。引き留めても意味ないって思っちゃいます。


――もしも、相手にとって自分が必要だと分かったら?


寄り添いますね(キッパリ)。反対に相手にとって自分が必要ないと分かったら……(パッと手を離す)。元気でいてね、という気持ちでいます。


―はっきりしてるなー。しかも、いつでも寄り添う準備はできてるだなんて。正直潔すぎてびっくりしてます。





元気ないなーと思ったら声をかける。
あとは、笑います。


――好きの種類を3つに分けてもらったところで、次は好きの表現の仕方を教えてください。 「好き」「すごく好きでとても大事」をどんな風に表現してますか?気持ちはあっても上手にできないこと多くて……。


……表現、というか行動ですね。「すごく好きでとても大事」は、自分はモノをあげます。両親の結婚記念日にはケーキとお互いに1本ずつのバラをあげるとか、祖父母の結婚50周年にはごはんを食べに出かけて全部自分が払うとか。サプライズしたがりなんです。喜ばせたいから誕生日記念日は必ず。何しようかなってずっと前から一人で考えて一人で決めて、それがすごい幸せですね。何でもない日でも、母が好きな向日葵を見つけたら買っちゃうし、もう、なんかいろいろ!家族には19年間ほんとにいろいろしてもらってきてるので。





――「いろいろしてもらった」ってよく出てきますね。大抵の人は結婚式で手紙読むときに初めて溢れる気持ちなのに(笑)。 周囲の人に良くしてもらってる、優しくしてもらってると常日頃から感じて感動してる女の子って、めずらしいですよ。その常々思ってる気持ち、体の体積で表すと、大体どの辺りまで詰まってますか?


このへんですかね?(口のあたり)


――確実に溢れてますね。


ああ、でも、やっぱりこのへん!(鼻の上)


――そこいくと、鼻から出ちゃう愛に!


くぅぅーーーッ。でもぉ、地元の美味しそうな食材見つけるといつもごはん作ってくださる帯広さんにって思っちゃうし、この雑貨喜びそう! とか、この帽子きっと似合う気がする! とか、群馬のだるまは縁起がいいから事務所に置いてもらおう! とかなっちゃうんです。ほんとにフツ―に自然と、そうなっちゃうんです。出ちゃうんです、鼻から! (笑)


――仲のいい友達に対してはどうですか?


友達は、元気なさそうな時にはその子の好きな食べ物買ってって「元気出してな」ってあげたりします。




――自分が必要な時バージョンですね。一般的な知り合いや友人にはどんな表現をしてますか?


表現は、言葉ですね。元気ないなと思ったら声をかける。あとは笑う。


――笑う?


自分が笑顔でいれば相手も笑顔になるから。とにかく自分の周りにいる人みんなに笑顔でいてほしいんです。みんなが笑顔じゃないと自分が自分でいられない。だから、自分が笑ってそれでも笑顔になってもらえない時とかは……何か、何か考えます!





自分の時間は削っても
大切な人たちとの時間を大事にしたいです



――10代は目まぐるしく変化する年頃ですけど、18歳と比べて19歳の今、周囲の人に対する気持ちに変化はありましたか?


高校卒業を機に免許を取ったり上京したのは大きいですね。帯広さんとアーサちゃんと同じ寮だったので寝る前にたわいもない話で笑ったり、里歩さんとお出かけしたり、試合後にみんなでお喋りしたり、そういう時間が増えたことが嬉しかったです。反対に家族といる時間はすごく減ってしまったので、どうしてこんなに寂しいんだろう? って思うくらい寂しかったですけど。。





――距離と時間が逆転したんですね。


離れたからとか近づいたからとかで、家族やガトームーブのみんなを好きな気持ちが増えたり減ったり変わったりしたわけじゃないけど、環境が変わったことで生まれた新しい感情みたいなものはあった気がしますね。


――自分がいないことで誰かが寂しがる気持ちとか?


ですね。家族に電話したくなる気持ちとか、みんなと写真撮りたくなる気持ちとか、自分の今まで話したことない話を聞いてもらいたくなる気持ちとか。いろいろ。そういう意味では何か、何かは変化したのかもしれないです。


――すごく好きで大事な人とはいろんな時間を共有したい人だから、群馬にいても東京に居てもどっちでも時間が足りなそう。たとえば。自分の時間を削っても大丈夫なほうですか?


はっ、はい!


――今、カクカクってすごい動きして前出てきたー! (笑) 今日イチ、チカラ入ってましたよ。カクカクカクってね、震えたんです。で、高速で頷いてた!


へへ。ははー(照)。でも、自分の時間は削ってもいいんです。自分の時間は削っても大切な人との時間が大事。





――許しちゃうし、削っちゃうし、あげちゃうし。こっちゃんは優しい、とみんなに言われる所以ですね。話は最初に戻りますが、新宿FACEのことりほ戦で「「ことり」選手はここぞという時に相手を許してしまう優しさの持ち主」だと感じた。と、同時に「里歩選手はここぞという時だからこそ、相手を許さない優しさの持ち主」ではないかと思ったんです。


里歩さんとわたし、真反対なんです。


――同じ団体なのだから、違うポジションの違う2人でいいんだと思ってました。でも、その後の卒業発表をした「ことり」選手は新宿FACE大会で見せた顔をもうしていなくて、ああ、この人はもう「ここぞという時だからこそ、きちんと許さない」かもしれない。と思わせた。一歩踏み出した気配がしてました。あの時19才の女の子が変わっていくことが誇らしかったし、頼もしかったし、それを今日確認できてよかったです。このカラダいっぱいの愛を持って優しさを持って次の場所へ行く、その場所で「ことり」選手に関わる人たちはとても幸せだろうなと思います。わ、ちょっと泣きそう……。


泣いちゃだめだめ(笑)。笑って。いつも笑っててください☆





「ことり」(ことり)
1998年群馬県生まれ。2013年2月23日にプロレスリング我闘雲舞から15歳でデビュー。2016年に第3代アジアドリームタッグ王座を戴冠。シングルベルトを賭けた里歩との試合は10代シングルマッチの最高峰と呼ばれたほど名勝負が多い。「ことりほ」を始め「ことりトン」「ちっちゃいものクラブ」「カオマンガイ」など、男子女子問わず多くのタッグチームを持つ、隠れタッグ屋気質でもある。2017年12月21日新木場1st.ring大会をもって、プロレスを卒業する。

| キレイファイター | 21:30 | trackbacks(0) |
【キレイファイター】(11) MIZUKI選手に聞く、笑顔のひみつ

キレイファイター第11回目は、LLPW-X所属「歌って踊って闘うアイドル」としてリングとステージ両方で活躍する、ブリバトの「みずぴょん」ことMIZUKI選手が登場です。長い手足と運動センス、王道ベビーフェイスなどスターの条件を幾つも持ちつつ、群を抜いて目立っているのが「笑顔」。人の緊張をほどいて場を和ませる、包容力的な笑顔を持つ彼女に「どうしたらみずぴょんみたいに笑えるの?」って率直にお聞きしてきました。笑顔が苦手だと思ってる女子のみなさん、必見です。(撮影協力:KAKULULU



ほんとに
なんにも
ひとりではできないんです



――ここ最近自分があまり笑ってないような気がしてるんです。単純に忙しかったり疲れていたり、体調悪かったりで仕方もないのだけど、いまいちパワーが出ない。でも、笑顔の女子に会うと疲れても楽しくなる。落ち気味だった機嫌もよくなっちゃうんですよね。

なっちゃいますねー。



――なっちゃうんですよねー。向かい側にいる人がニコニコ笑ってる。それだけで空気が変わるんですね。そんな風に「笑顔ひとつあれば」と思う機会が増えてるんです。まずは笑顔ありきというか、笑顔ひとつあれば変わること、笑顔ひとつあれば何とかなるかもしれないこと。リング内外で見せるMIZUKI選手の笑顔を見て、そんなこと考え始めました。

へへ。でも、今まで笑顔を意識したことがないので、何を話せばいいものやら(笑)

――呼吸をするのと同じくらい日常的なことですからね。では、たとえばMIZUKI選手が「笑顔ひとつあれば乗り切れる」と思う瞬間はどんな時ですか?

む、えっと、分からないことがあったら笑って誤魔化せ!(笑)ピンチの時は笑って誤魔化します!

――なるほど。ものすごく実践的な乗り切りの瞬間ですね。

間違っちゃった時とか失敗しちゃった時、笑っちゃうとちょっと落ち着くんですよ♪

――無意識なんでしょうけど、失敗した時に萎縮しない方法なんですね。小さい頃はどんな子でした?

たぶん、超げんきでした☆ 家でゲームしてるより毎日外で鬼ごっこしてるみたいな。両親がすごいアウトドア派だったので、旅行もホテルや旅館じゃなくてテントやコテージに泊まって、バーベキューとかキャンプとか。

――大人しくて女の子らしいと思ってるファンの人も多いのに、全然違う。

虫とか触れなさそうとか、プール泳げなさそうとか、何にもできなさそうって言われますね〜。でも実際は…海に行ってお母さんに「足だけだよ」って言われても全身入っちゃう(笑)帰りは頭からゴミ袋かぶせられて帰ってきたりしました。

――笑って誤魔化してるのが目に浮かぶ…。笑っちゃったほうがスムーズな場面は意外と多いのかもしれないですね。意外とね!意外と!ところでよく笑う女の子はさぞよく泣くだろうと思いきや、悔しい、悲しいという感情ではあまり泣き顔を見せないですね。

もともとすごい負けず嫌いなんです。17歳になった月に東京に出てきたので「ホームシックないの?偉いね」って言われるけど、帰れないんですよ。神戸に帰って「なんで帰ってきたの?」「淋しかったから?」とか聞かれるの……恥ずかしいッ!(笑)

――ホームシックに負けず嫌いが勝った!泣き虫の妹キャラみたいに思われてるのにね。

こう見えて、実はお姉ちゃん。えへへ。

――おお。まさかのお姉ちゃん。そのせいか、負けず嫌いなのは伝わってくるけれど「気が強い」「我が強い」という印象はないです。悔し泣きよりも、嬉し泣きしている場面をよく見かけますね。

レギュラー参戦させてもらってる我闘雲舞(ガトームーブ)さんはエンディングで客席を回って皆さんと握手させていただくんです。試合に負けた時は「ここで泣いたら負けだ」と思って我慢するんだけど、皆さんに「頑張ったね」「次こそ勝ってね」とか言われると保ってたものが保てなくなって、ホォワァ―――ッッってなっちゃう。

――認めてもらった感でしょうか。

応援してくれてたんだーーー!って嬉しくて。ミズキ、すごい緊張するので、誰かが応援してくれてるってことが支えなんです。

――デビュー4年目になってベルトに挑戦する機会やメインイベントへの抜擢など増えてますよね。自分のことをまだ知らないお客さんも多い客席。緊張して小さく縮こまってても不思議じゃないのに、MIZUKI選手は両手でトップロープをつかんでリングから四方を見回しますね。その際に必ず知ってる顔を見つけて手を振ってる。余裕のない場面ですごいなと感心してます。

たぶん、人一倍緊張してて、控室でもずっと緊張してて…だけど、そんな緊張のリングから周り見て誰かと目が合ったら笑顔になってくれるじゃないですか。それでホッとするっていうか、ちょっと落ち着くんです。その笑顔に支えてもらってる。紙テープ* も応援してくれる人がいなかったらなくて「今日、紙テープが飛んだぁー」って、またちょっと落ち着くみたいな。ほんとに、なんにもひとりではできない。

――緊張も1人で抱えこんでるだけじゃ余裕がなくなるだけ。自分で頑張らなきゃって思いがちだけど、実は不機嫌になるばっかりでキャパオーバーなこと多いですもんね。「ひとりでは無理だから」誰かに助けてもらって、温かい気持ちになって笑顔になって進んでいくんだ。

えへへへ、なーんてこった(笑)

――いい、いい!むしろ素敵!1人で頑張りすぎちゃうと結局1人になっちゃうから!

*プロレスではリングに入場して名前をコールされる時にファンの人が応援の紙テープを投げ入れる風習がある。紙テープの量は人気のバロメーター。



相手との間の
固まった空気が嫌いなんです



――笑顔って必ず人と人の間にあるものですよね。大事なものだと分かってる。でも、わたしみたいに笑うのが苦手な人って結構いると思うんです。

えー、いつも笑顔じゃないですか。

――それはそれこそ、相手がMIZUKI選手だからですよ。MIZUKI選手には人を緊張させない才能があるんです。いつも笑ってるでしょう?



へ?そんなことないですよ。朝起きた時は笑ってないし、道場では今寒いから顔固まってるし、真面目な話してる時は真面目な顔してます(キッパリ)

――分かりました分かりました(笑)なんだろう、空気が…ニコニコしてるのかな。多分、MIZUKI選手の輪郭の空気が柔らかいんです。お菓子みたいに甘いわけじゃなくて、フーフーして冷ました温かい飲み物みたいな。人とすぐ打ちとける準備が出来てる。

そうなんですかね。でも、すごい人見知りですよ。

――人見知り!?誰とでも向かい合った瞬間にパッと笑顔になれるのに?

ミズキはたぶん人見知りだから、相手との間の固まっちゃう空気が嫌いなんですよ。こっちがクッて緊張してると向こうもクッてなって、そしたら自分からも話しかけられなくなっちゃうし、相手からも話しかけてもらえなくなっちゃう。それでお互い話せなくなっちゃうのがほんとに嫌。

――それで、先に笑う?

うーん、でも…なんで笑ってるんだろう???

――相手との固まった空気が嫌いで、先に壊すほうなんですね。

そう!その空気が壊れたら、向こうから話しかけてくれるじゃないですか。で、話しかけてもらえるとこっちも話せる。

――相手から話しかけてもらってる感覚なんですね。

はい。自分から話しかけることはできないんです。ほんと人見知りだから、来てくれた人じゃないと話せなくて…。

――相手は自分から話しかけた意識ないかもしれないですよ?なぜなら、先にMIZUKI選手が笑ってくれたから。むしろ笑顔が最初の一手になってるっぽい。

ほんとに?えーむずかしーーー。

――笑ってくれたから笑い返した、それが会話の一部になってる。そこから始まってる気がします。笑顔ひとつが100の言葉に匹敵してる。

ほんとうにそうだったら、すごい素敵!



ひとりの時間が長いから
たぶん人と会うのが楽しいんです



――笑顔をもらうと無条件に温かい気持ちになりますよね。笑顔をもらった瞬間に気持ちがほどけてるし、相手に対して安心してる。笑顔が苦手なわたしでも笑顔スイッチが入るんですよ。その空気を自分があげられる人になりたいんです。何をどう練習すればできますか!先生!



先生んなっちゃった!!!!

――先生

ひゃ。えっとですね(腕を組んでみる)、ミズキこっちに来てからひとりのラクさを知っちゃったんですよ。部屋にいる時間はいつでも自分だけの時間だし、買い物行くのもひとり。友達と行くのが嫌いってわけじゃないんですけど、ひとりだと「は〜、あっち行こ〜」ってできるじゃないですか。

――寂しくならないですか?

神戸に帰って家族や友達に会ったあと別れるとすごく寂しいです。

――楽しい時間や出来事が、ドアが閉まるみたいにパタンと終わってしまう瞬間が辛いんですよね。

神戸にいる時は家族といる時間、友達に会う時間で1日が埋まっちゃうからひとりの時間がなくて、でも神戸を出たらひとりだから、その温度差に耐えられなくなっちゃう。でも普通の生活に戻っていけば大丈夫になるんです。

――1人暮らしだということ自体の寂しさではないんですね。

ひとり大好きですよ。でも、ごはんは誰かと食べたほうが美味しい。ひとりの時間が長いから、たぶん人と会うのが楽しいんですね

――人と会うのが楽しい。ってシンプルながらとっても素敵な感情ですね。1人の時間が好きなように、人との時間も好きというのが大前提!何かを練習するでなく、まずは人を好きであれと!

ま、ミズキはいつも、ぅわぁ〜〜〜って感じです。

――もぉ、擬音で伝えないで!分かんない!



自分の周りにいる人は
もれなく
みんな味方です



――MIZUKI選手を見ていると笑顔はものすごい武器なんだなって分かります。のんびりした場面でも固い場面でもピンチの場面でも、自分から笑顔を出せたら、きっとその一歩先に行けるはず。ただ、やっぱりいざ「笑顔」って、これができないんですよー。



できますよー(ニコニコ)。

――さっきの「向かい合った相手との固まった空気を笑顔で壊す」も、わたしみたいに笑うの苦手な人がしたら、実にビミョーな笑顔が出ちゃうと思うんです。笑おうと思って笑うニヤァーって不自然な感じの。自然な笑顔ってどこから出せばいいものやら。

普段意識しないのでむずかしいです。えー、笑うこと意識します?(マネージャーさんに質問)

(マネさん)笑おうと思って笑うことは仕事なんかでありますけど、あまり自然体はないですね。印象良くしましょうっていう。

――ほら!やっぱり!マネージャーさんの気持ちはめっちゃ分かりますもん。

(キレイナビ)キレイナビでも、口角を上げるフェイスヨガの方とコラボしてる記事がありますよ。唇の内側にストローを切って入れておくんです。すると口角が上がるんですって。

――ほら!ほらほら!一般的には口角を上げる練習からするものなんですよ。

そーいうもんですかねぇ。んー、たとえば「笑わなきゃ」って思わないとかは?

――笑わなきゃ、って思ってますね。苦手だから余計意識するんです…。

みんな写真撮られる時に「にこっ」って感じじゃないですか。だけど、それをやめる。その笑顔を目の前でされるのはあんまり…好きじゃないです。写真撮られてるときはカメラ持ってる人がこっち見てるわけなんですけど、カメラ覗いてる人がいる――って思うと、ミズキは笑っちゃうんですよ。

――カメラじゃなくてカメラ覗いてる人見てるんだ。

カメラのレンズは緊張するけれど、カメラを持ってる人は大丈夫☆ 自分の周りにいる人は、みんな味方だって思えば怖くないんです。わざわざ近寄ってきて意地悪言いにくる人なんて少ない。だから誰かと向かい合っても、なんか、きっといい人だから大丈夫なんです。

――思ってるより人は優しいと感じるか、世の中は嫌な人が多いと感じるかは、大きな違いですね。

嫌なこと言われるとめっちゃ気にするタイプなんですけど、だからこそ嫌なことは小さいことにしちゃうんです。だって、今応援してくれてる人は味方でいてくれる。ミズキはそんなたくさんの友達が欲しいわけじゃなくて、ほんとに何人かが自分のことを分かってくれたらいいなって思ってるんです。だからその子たちには絶対的な信頼があるし、信じてくれる人をミズキも信じる。

――会社や学校でも自分のことを好意的に思ってくれてるだろう人は「応援してくれる人」であり「味方」だと思っていいんですね。

はい、もれなくみんな味方です

――またMIZUKI選手のほうから先に「味方宣言」してる。人間関係に対しての考え方を聞いてると「もらって返して」のアクションを相手に委ねていないところに脱帽です。何かをしてもらおうと思ってないもの。MIZUKI選手自身が打ちとける準備をしてるし、相手に笑いかけてもらえる環境を作ってますよね。相手から先にしてほしい気持ちがあるから、怒ったり不機嫌になったりするような気がしてきました。今日はありがとうございました。わたしはMIZUKI選手の味方です

わたしもばんばさんの味方です





MIZUKI(みずき)
1995年神戸市生まれ。2012年12月29日LLPW-Xからデビュー。軽やかさとジャンプ力、笑顔を武器にリングをかき回すムードメイカーとして「我闘雲舞」を主戦場に「SEAdLINNNG」「アイスリボン」など活躍の場を拡大中。パワーファイターSAKI選手とのコンビは次世代を担うタッグチームとして2016年の飛躍に注目が集まる。毎週金曜日にはアキバエンタメステージで定期ライブを開催している。


 
| キレイファイター | 11:59 | trackbacks(0) |
MIZUKI選手にインタビューしてきました。


「人を緊張させない」

というのは、物凄い才能だと感じています。

わたし自身は極度の緊張屋で

それを隠そうとするばっかりに

やたら堂々として偉そうになってしまい

可愛らしさからはるか遠く離れてしまうのです。





しっかりして見える女子のあるある。





だったりしないかな(仲間がいるはず!いて。お願い。)

その小さいようで根深い悩みを

どうにかテーマにできないかなと考えていたときに

浮かんだのがMIZUKI選手でした。







存在まるごと「うさぎちゃん」みたいな

今年21歳の若い選手。

愛称はみずぴょん。



MIZUKI選手と向かい合うと

彼女がパッと笑うから、こちらもパッと笑ってしまう。

緊張が入り込む隙間がない感じ。

緊張しないから安心する。



笑顔って素敵。

笑顔ひとつあれば。

でも意外と難しいものなの(できない人には)。



だから次回のキレイファイターは

『MIUKI選手に聞く、笑顔のひみつ』です。







          撮影協力/KAKULULU





どうしていつも笑顔なの?

どうすれば、みずぴょんみたいに笑えるの?



ってストレートにお聞きしてきました。





記事掲載は2月下旬予定です。









| キレイファイター | 18:26 | trackbacks(0) |
【キレイファイター】(10)星ハム子選手に聞く、応援されるお母さんとして

キレイファイター10回目に登場するのは、アイスリボン所属の星ハム子(ほしはむこ)選手。プロレスラーになるため夫と娘を地元・北海道に残して上京するという異色の経歴を持つ、単身赴任かあさんレスラーです。トレードマークのおなかを武器に(リアルに武器!)対戦相手の体力を奪い、モッチリセクシームーブで気力戦力までも奪うファイトスタイルで業界のお笑い戦線を独占中。というキャラとはうらはらに、リング外では気配りと気遣いの見え隠れする仕事ぶりで信頼も厚く、男子女子問わず『選手に愛される選手』なのです。ティーン選手の多い同団体の母的存在でもあり、実際の母業のため帰省、休業しながらレスラー稼業も7年。反対もされるけど家族にめいっぱい応援されてるハム子母さんの素顔に迫りながら、全国のすべてのお母さんにエールを送ります!




自分のやりたいことって
子供を産んだら
諦められるだろうと思ってたんです。



――母の日特別インタビューです!東京に単身赴任でプロレスラーやってるお母さん、星ハム子選手!連載を始めた2年前からオファーすることを決めていて、満を持して2015年5月の登場です、ありがとうございます。お母さんレスラーが何人かいる中でなぜハム子選手だったか……それは好きなことをやっちゃってる人だったからです。「好きなことしてるメーター」があったら、完全に一番端っこまで針振りきれちゃってる人!

がはっはははは!



――そんなハム子選手を今日は全肯定したいと思ってるんです。なぜかって、世の中のお母さんを全肯定したいから!好きなことしてる人って批判されがちですけど、ハム子選手って「ハム子さんのことを嫌いな人はいない」ってファンが口々に言うし、どんな大御所レスラーもリング上でハム子キャラに巻き込まれるくらい愛されてる。高橋奈苗選手(キレイファイター第一回登場)は「ハム子、もっと上に行け!」と発言されてましたね。

いや、そんなことないです。名前のおかげだと思います。

――ボンレスハムみたいだったから「ハム子」ですもんね。おもしろセクシーのおかげで子供にも大人気。でも、どんなに経験の少ない新人選手でもハム子選手だったら相手を立てる試合ができるって評判も聞こえてきます。難しいミックスドマッチ(男女混合試合)でも、力の差を感じさせない楽しい試合ができる人。

男子の選手もわたし相手だと遠慮しないできますもんね。こないだもチョップで肌切れましたもん。パチーーーンて音しましたよ。頑丈そうに見えるんでしょうね(笑)。でもだから試合として成り立つんだと思います。手加減が見えたらミックスドは面白くないですし。

――普段から一緒に練習や試合をしてるわけではないのに、遠慮しないという信頼感は相当です。しかもアイスリボンは1年前まではキッズレスラー(中学生)も多くいて、母っぽい役割も随所に光ってたり。リングではどすこい!なんだけど、リング降りると物腰やわらかくて、試合をしてる選手へのフォローは細やかだし、働き者だし。好きなことしてるけど、根が真面目、きちんとしてるところが応援されるゆえんなんですよね。

きちんとしてない!全然してない!チョーだるだるなんですよ〜。

――えー、しっかりものに見えますよ。大胆かつ細やかな印象です。

見えない見えない、ぜんぜん見えない…。

――しかも、いくらでも自分を語れる場所にいながら自分語りしないじゃないですか。自分の立場や行動を言葉で補うことは可能だと思うんです。でもしない。潔いというか不器用というか、気持ちで動いてる人であることに正直驚きがあります。有言実行じゃなくて無言実行。しかし、世間的には『好きなことやっちゃったお母さん☆』 デビューした時、お子さんおいくつでしたっけ?

今12歳だから、当時は5歳ですね。

――小学校に上がってなかったんですね。それは大胆な決断ですね。それはあの、デビューするにしても小学校上がってからにしようとか思わなかったんですか?

もともと、デビューなんてする気はなかったんです。地元の北海道岩見沢で格闘技の道場に通っていまして、車で片道3時間かかるんです。こっちの人からすると理解できないと思うんですけど、雪の季節になるともう通えないんですよ。アイスリボンは当時珍しく一般の人もプロレスを気軽に習うことができたので、冬季の短い期間だけ出稽古みたいな感じで東京に来てみたんですよね。ほんと、すぐ戻る予定だったんです。

――岩見沢は確か国から特別豪雪地帯の指定を受けるほど、積雪量が多いんですよね。

そうなんです。ちょっとした習い事もできなくなるくらい。それで冬季合宿のつもりで来てみたら、デビューしてみる?って声をかけられて。

――迷いはなかったんですか?

わたし小学校の卒業文集に『プロレスラーになりたい』って書くぐらいレスラーになりたかったんです。でもやっぱり田舎なので身近にチャンスはないし簡単ではなくて。20才で結婚して出産したんですけど、子供を産んだで諦められるかと思ったんですけど、そうでもなくて……。

――すっごいその気持ち分かります!!!!!わたしはそれで子供を産むほうを諦めたくちなので。女の人にはそれありますよね。キレイナビ読者にもいる気がする。

諦められるかと思ったけど、子供産んでもプロレスは観てて、やっぱりやりたいなって気持ちが強くなってジムに行って。冬季期間に東京に行ったのも、その間に多分やっぱりわたしにはプロレスはできないってなるだろうな。やってダメなら諦めもつくだろうっていう考えがあったんです。とにかく、この夢は簡単には諦められなくて。

――逆に諦めるために、東京までやってきた?

そうですそうです。そして、きっとそうなるんだろうって思ってたんです。

――諦めたいから、振られるために告白するのと同じですね。それで泣いてスッパリ諦めようと思ったら、中途半端な返事もらっちゃったみたいな。

そうそうそう。まさか、デビューするなんて……。

――ほんとにねぇ。大胆なことをなさった。しかし、かなりの葛藤はある中で、好きなことやっちゃった理由はなんですか?

うーん、プロレスが好きだからしかないですよね。でも、子供のことは考えなきゃいけないし、親もね年をとってきてるし、支えてくれるんだからわたしも何かしなきゃっていうのは常に思ってるんですけど。当時は「どうにかなるだろう」しか思ってなかったです。ハハハハー。



寂しくなっちゃうから
お互い連絡とりあわないようにしてます



――どのくらいの頻度で北海道に帰ってるんですか?

北海道での試合に呼ばれることがあったらすぐ行きますね。それ以外でもだいたい毎月。

――たまにツイッターで見かけますが、お子さんしっかりしてらっしゃいますよね。

しっかりしてきたなって思います。最近は地元のバレー部の副キャプテンやってたり、児童会に立候補して書記になったり。いつの間にそんな前に出てくようになったんだろうって。前はそんな子じゃなかったんです。



――バレーに児童会に、普段話すのはそういう近況報告ですか?

あんまり連絡取りあわないようにしてて…。

――え!? ん? ど、どういうことですか?

淋しくなっちゃうでしょ、連絡取ると。だからお互いにほんとに必要な時だけは、なんかホントにある時だけは連絡しますけど、普段はそんなに。なんとなく2人でそういう風にしようみたいに。

――かわいい。きゅんとしちゃいますね。「マメに連絡するようにしてます」を予想してたんですけど。

してたほうがよかったですか???(ちょっと気を使うハム子さん)

――いやいやいやいや、いいですいいです。むしろお二人ともすごく素直というか、可愛い親子だなと思って。

うん、全然しないですね。ほんと、まったく。子供もすごく忙しいんですよ。学校終わって毎日バレー行って、水曜日はダンス習いに行って、児童会の仕事もあって。家庭学習もやらなくちゃいけないし。子供なりにすごく疲れてるんだろうなって分かります。ダンス行くと帰りが10時で、それからお風呂入ったりいろいろしたら寝るの12時なんですよ。ほんとに忙しそう。

――そりゃ多忙ですね。でも、連絡あまりしない分たまに会うと仲良しですね。

仲良し…しないっ。もうね、帰ったらいっつも喧嘩。何が原因か分からないけど、ほとんど全部向こうからでわたしが怒られてばかりです。みんなは「甘えてるんだよー」って言いますけど。うちの子すごいの、ギャーってなって気い狂ったように泣いたりします。

――淋しさを我慢したり、だから会うと喧嘩しちゃったり、ギャーってママに当たったり。足りない部分はあるだろうけど、ハム子さんも無理して「いいお母さん」になろうとしないのが、すごいです。大抵お母さんてみんな頑張りすぎちゃう。素敵なお母さん、素晴らしいお母さんになりたいって。やるべきことはやるし、やるべきこと以上のことすればするほど偉いって評価もあったりして。

もっとしっかりしなきゃいけないって思うのも疲れちゃうから、素でいいかなみたいな感じです。

――語らないですね〜。ここ、全然語りどころなのに!そもそも最初にインタビューを考えたのは、ご自身の5周年記念イベントでリングに上がった娘さんを見たのがきっかけだったんです。お客さんもいるし、まだ小学生だし、複雑な顔するんじゃないかなと思ったら、すっごい嬉しそうな顔してて。「この子、お母さんが自慢なんだ!」って感じました。

いやいや、そんなことない、ないない(もぞもぞ)。

――いやー、お客さんがたくさんいる前であんなに嬉しそうな顔できないですよ。それぐらいすごい笑顔でした。それ見てハム子さん愛されてるんだー、お母さんのことが自慢なんだーっていうのが伝わってきました。

えぇ〜、そうだったら…いいんですけど〜。

――ハム子さんと同じ20才で出産して今3人のお母さんしてる友人が「お母さんという生き物はこういうことしてるから偉いとか、何をどう頑張ってるから偉いとかではなくて、お母さんはただお母さんてだけなんだよ」って言ってたんです。素敵なお母さん素晴らしいお母さんてどこか点数加点制になってるけど、そうじゃなくて「ただお母さんでいい」って真実だなあと思ったんです。それと同じことを、リング上の星ハム子親子を見て感じたんですよね。グッときました。愛されてるし愛してるし、お母さんだけど娘にめっちゃ応援されてる!わ、これすごい!って。お母さんが応援されてるって状況がね、これ広まんないかなーと思って。感じますか?あたしのこと好きなんだなって。

どうなんだろう〜〜。ま、実家に帰った時のね、あの、最初の笑顔はやっぱり「ああ、帰ってきた」って思いますけどね。

――会えない時間が長いけど、複雑な顔とかないんですね。

ないですね。

――即答!愛だなー。でもそのあと怒られるんでしたよね(笑)レスラー星ハム子のことは好きですかね?認めてくれてる気がしますか?

どうですかねーーーーー。なのかなーー。自分が毎日こうしてレスラーやってるから、うちの子も頑張ろうと思ってバレーや委員をやってくれてるんだったらいいですけど。今まではバレーボールも「やってみたい」程度だったんですよ。でも、ここまで休まず真剣に取り組んでる姿見てると、やりたいことが見つかって、それを頑張るのが楽しいってことに気付いたんだなって。それは嬉しいです。



家の事情でフェイドアウトするのではなく
本当に辞めたいときに辞めたいんです。



――しかし、母娘が妙に大人びた関係にもクールな関係にもならないとこは、ご家族のフォローによるものなんでしょうね。娘さんもご主人もご両親も、ご家族みんなでハム子母さんを応援してくれてる!



そこは本当にね、家族がいてくれなかったら本当どうにもならないですよね。親は今も「早く帰ってこいー」って言いますよ。「早く帰ってきて普通の生活をしなさい」って。でもまあ。まあまあ。

――でもまだ帰んないあたりは、なんだかんだ応援してくれてるのを分かってるんですね。

毎年、北海道の北都プロレスさんで地元凱旋をさせてもらってるんですよ。わたしの生まれ育った岩見沢でわたしがバイトしてたラーメン屋の店長さんが支部長をして開催してくれて。そこには子供も親も見に来れるので、その大会ではわたしの雄姿を見せています。

――そこは自信を持ってレスラーとしての自分を家族に見せて、日頃の恩返しなんですね。

そう、ですね。こないだはダンプ松本さんと試合して、わたしが血まみれになってしまったので子供たちが怖がってみんな泣いてしまいましたね。うちの子も泣きました「マァマ―ァァ――――ッッッ!!!!!」って声がして。終わってからお母さんたちに「すいません」って謝って歩いて(笑)

――なんかいい話ですねー。まあご家族もね、もしいつまでもウダツが上がらない選手だったり、素人から見ても下手っぴだったら、もっと深刻な「帰ってこい!」ですよ。強制送還ものです。でも「ウチの面白いなー、いいキャラしてんなー、お客さん沸いてんなー」ってのが分かるとね。しかしもうレスラー業も7年8年、好きなことやっちゃった理由はさきほどお聞きしたんですが、やり続けちゃってる理由はなんですか?

なんですかね…。やっぱり好き以外ないですね。痛いし…怪我もしたし…苦しい思いもして、家のこともあって、でも一度も辞めたいって思ったことないんですよ。

――でも続けられなくなるとしたら、ハム子さんの場合はご家族のことだと思いますが。

やっぱり親の体調危機ですかね。もう高齢だし、こないだ母の入院があってひと月お休みもらって実家に帰ってましたし。でも、もし親が入院して本格的に北海道に戻らなきゃいけなくなったとしても、レスラーは辞める必要はないんです。北海道には北都プロレスがあって社長さんも受け入れてくれるって言ってくれてるんで。

――東京は引き上げるとしても、引退ではないと。

あの、わたし本当に辞めたいときに辞めたいんです。小学校からの夢だったプロレスラーに、まさかなれるなんて思ってなかったのになれた。だから終わりはちゃんとしたい。もし母の具合が悪くなってプロレスできない期間があったとしても、勝手にフェイドアウトとかは嫌で。単身上京してプロレスやらせてもらってる、だからこそ、家族の事情でプロレス辞めなくちゃいけないっていうのはしたくないんです。きちんと引退したいし、辞めたい時に辞めたい。

――はっきり決めてらっしゃるんですね。感謝やいろいろな気持ちはあれど、ご家族への後ろめたさを抱えながらメソメソクヨクヨしてるところが一切ない。好きなことをやってきて周りのみんなが応援してくれた、その応援し続けてくれたことへのけじめでもあるんですね。

そうですね。だから、自分の中でもきちんとしないと。いろんな思いを引きずって生きていくのは嫌だしずるいし。自分で始めたものだから、最後も誰かを理由にせず、自分で「終わりは終わり」って決めてるんです。





星ハム子(ほしはむこ)
1982年北海道生まれ。2008年アイスリボンよりデビュー。モッチリ体型を活かしたどすこいファイトの個性派で、そのオンリーワンの魅力から準レギュラー参戦する団体も多数。トップを狙う主役というより名脇役的な存在で新人選手との対戦も多い。インターナショナル・リボンタッグ王座を4度、REINA世界タッグ王座を1度戴冠。得意技は「お・し・り・ダー!!」「スモウラリアット」「女の執念」など。モッチリボディ仲間の宮城もちとのユニット「らぶりーぶっちゃーず」は女子プロレス界トップ5に入るタッグチームとの呼び声も高い。

 
| キレイファイター | 11:40 | trackbacks(0) |
【キレイファイター】(9)豊田真奈美選手に聞く、先輩と後輩に必要なもの

第9回キレイファイターは、女子プロレス全盛期の全日本女子プロレス(通称全女)で、黒髪の飛翔天女としてエースを守り続け、プロレスラー人生28年目を迎える豊田真奈美選手の登場です。年を重ねるごとに軽やかに人生を変えていくファッション誌の女性像とは反対に、時代に合わせることなく「自分のまま」スイスイと人生を泳いでいく。マイペースで群れることなく明るく強い、けれど気付けば後輩に囲まれている、そんな豊田選手に28年分の先輩と後輩のこと聞いてみました。



「今度はあたしがあんたの付き人をやってあげるね」って。
本当にこの先輩に付いていってよかったと思いました。



――そろそろ新社会人が入社してくる季節なんですが、豊田選手はプロレス業界では圧倒的に「先輩」ですよね。試合を見せていただいて感動してしまうのが、今なおベルトが狙える強さ、それからデビュー当時からのトレードマークである「つやつやの長い黒髪」が健在だってことです。きりりと引かれた強めの色の口紅も好きです。デキる先輩の美人オーラが素晴らしいです。

どうしよう。ありがとうございます(照)。さっきまでボサボサだったんですけどね。



――ボサボサって、何があったんですか?

傘忘れちゃって、ずぶ濡れだったんです(笑)さっきの店の化粧室にコンセントなかったら、お見せできない状態でした。

――見た目と違ってウッカリさんというお噂は聞いていましたが、まさか本当だとは。確か昨日から雨の予報だったような…。

昔から「リングに上がると格好いいけど、リング降りるとボサボサだよね」って言われるんです。褒めてもらっちゃったけど、今つけてる口紅も試供品だし、髪洗ったら結わいたまんま寝ちゃうし…。

――90年代クールビューティーと謳われた豊田真奈美像が……。

すいません。あ、でも、えっと……とりあえずトリートメントは高いです!!! 少しだけ癖っ毛なので、年に2回は縮毛矯正をかけて、トリートメントは一番いいので15000円くらい。やるときはやるぞって感じですね☆もう、つるんつるんになります♪ ほんとにつるんつるん。ふふ。でも、何日か経つとそうでもなくなっちゃう……?

――それ、洗ったまましばって寝ちゃうからです!豊田さん!

あ、そっか。そうねぇ(汗)でもね、ほんとに、リングに上がる時だけは全力でいろんなもの出してます。入場曲が流れて扉が開く瞬間からはパチッと『豊田真奈美』です。普段は酒飲みのおっさんです。ふふ。よく家に後輩を呼んで宴会するんです(といって携帯の写真を見せてくれる)。ブリをねネットでよく買うの。

――魚の、ブリのことですよね…?……1本まるごとの話してます?

はい。1本買います♪

――お魚さばけるって女子力高いですけど、アジや鯛じゃなくブリって!女子力超えて…親方レベルです。

ブリは生でよし、焼いてよし、煮てよし、捨てるとこないんです♪ わたし料理が大好きなのね、美味しいものは大勢で食べたほうが楽しいじゃないですか。だからお魚ドンとさばいて、みんなで。で、ちょっとだけ飲みすぎちゃうし食べ過ぎちゃうんですけど。後輩はみんな大好きなんですよ。可愛くてしょうがなくて。先輩はきらいっ(笑)後輩のほうはわたしに気使うんだろうけど…でも、なんだか最近あんまり気使われてないキャラになってる気もするかな。うちの酒蔵、後輩に荒らされてるし!

――ブリ1本さばいてご馳走してくれる先輩宅があったら、わたしも入り浸りたいです。後輩の面倒見はいいほうなんですか?

いえ。どっちかといえば誰かを1人だけ可愛がるとか、あんまりしたことなくて。

――少しそんな気がしてました。あまり他人に対してお節介しなさそうな人だな、むしろマイペースなんだろうなって。でも、藤本つかさ選手(キレイファイター第6回ゲスト)とベルトを賭けた試合をした後で、後輩の藤本選手に対してぶわーーっと愛情があふれた笑顔を見て、もしかして瞬間的に愛情が爆発するタイプの人なのかなと思いました。

もともと話すのは上手じゃないからあまりいい言葉をかけてあげられないんです。変なこと言っちゃうんで、リングでもマイク持っちゃいけないタイプなんですけど。まあでも、なんか、それでも伝えたかったってことなんでしょうね。

――きっとそうですね。言葉っていうか、全身から出てました!素敵な先輩像として、すごく印象に残った試合でしたね。で、これは28年のキャリアの中でいい出会いがたくさんあったに違いないと。誰もが素敵にキャリアを重ねたいし、単純に素敵になりたい。素敵になろうと頑張ってる女子はキレイナビ読者にもたくさんいるけれど、実はひとりでは素敵になれないんですよね。豊田選手はどんな先輩に影響を受けましたか?

新人の頃、クラッシュギャルズと同時期にいたJBエンジェルスの山崎五紀さんの付き人をしてました。クラッシュのボーイッシュな人気と反対にJBは女性らしさで人気があるユニットで、五紀さんが黒髪のストレートロングでドロップキックの名手だったんです。「わたしも五紀さんみたいになりたい」と思って、だからわたしも黒髪のロングだし、得意技はドロップキック。

――憧れの先輩に出会ってしまったんですね。

当時は後輩に何から何まで雑用をさせる先輩が多かったんですけど、五紀さんは違っていて自分でできることは自分でするという珍しい人でしたね。選手としてだけでなく、人としても尊敬できる先輩。だからわたし自身が先輩になったとき、自分でできることは自分でやろうという姿勢になりました。

――確か今はご結婚されてNYにお住まいとか。

はい。でもいまだにちょこちょこ連絡をくれるんです。何年か前にアメリカで試合をする機会があって、五紀さんの家にお世話になってたんです。フィラデルフィア、ボストン、マンハッタンとツアーで回ったんですけど、会場に向かう車に乗り込むときに「とよたー。今回あたしがあんたの付き人やってあげるからね。今まで散々やってもらったものね」って。それを聞いた瞬間、やっぱりこの人に付いていってよかったって思いました。本当に素晴らしい先輩なんです。




後輩の立場から言ったら
先輩に面倒を見てもらう必要はないかな。



――ところでどんな業界でも、先輩後輩の関係はずいぶん変わってきていると言われますよね。先輩としては厳しさの加減や、そもそもコミュニケーションのとっかかりに悩む人も多いようですが。

そうですね。上下関係というものが通用しずらいですよね。プロレス業界でさえガチガチの上下関係じゃなくなったかな。フレンドリーというか、みんなちょっと馴れ合いっぽいところもあったり。でも、昔みたいに厳しくしたら下の子は絶対ついてこれないしね。それは世の中どこもそんな感じだと思います。

――上下関係を重視しないようにしようという風潮もあるかと思いますが。

でも、あるなしで言ったら上下関係は必要。あの、なんて言えばいいかな…んんー、上下関係がないと単純に後輩は育っていかないんですよね。



――確かに、上下関係のマイナス面ばかりを拾いあげると、良い面も一緒に失われてしまう気がします。

わたしに先輩がいた頃は、年間300試合もするような時代だったので本当に大変でした。練習も試合も辛いし、怖い先輩は本当に嫌だったし。でももし、先輩後輩の関係がゆるくて楽なものだったら、当時の辛さやキツさを乗り切れなかったかもしれないです。

――後輩的にはゆるい分には有難いけれど、1人で仕事が出来るようになるわけじゃないですしね。

楽かもしれないけど育ってはいかない。反対にどんなに厳しくされても、10個厳しく言われても、1個褒められれば伸びるんですよね。わたしは特に褒められた分伸びるほうなので。

――厳しさとご褒美の強弱やバランスが難しいんですよね。特にしっかり者の女性は母性が強いので、後輩に対して気付きも多くなってしまう。厳しくすることをいとわないあまり、それが時には後輩にとってお節介に映ることもあると思うのです。揉める元になる「よかれと思って」的なやつですね。豊田選手はお節介かもと悩むことありますか?

ああ、たまにありますよ。でも、結構言わないほうかも。あたし(笑)「これ言っといたほうがいいんだろうけど、うーん、別に言わなくてもいいっか」って。もちろん、さすがにこれはと思った時は、その団体の人に言いますけど。

――わざわざ嫌われたくないというのは、先輩の本音としてもありますね。それって、優しい良い先輩になってしまう心配はないですか?

良い先輩になってしまうわけじゃないけど、立場やタイミングもあって。

――確かに。立場やタイミングを考えない先輩はお節介に映るかもしれません。そして「お節介」を気にして後輩教育に弱気になってしまう先輩もきっといますよねぇ。

でも、仕事の現場なら後輩は最初は右も左も分からないんだから、必要なら厳しくしてもいいかな。後輩的には腹が立つかもしれないけど、いつか「あの時は厳しかったけど」って分かってくれる日はくる。あたしも「あの先輩は本当に怖くて嫌だったけど、でもやっぱりすごいな」って人はいっぱいいるから。ただ、最初は何もできないんだから先輩を頼っていかなきゃならないけど、一定期間を過ぎてからは仕事は自分でつかんでいくものだとは思います。自分から上達しよう上に行こうとしないと、それは先輩に言われたところでできないこと。だから、後輩の立場から言うと、別にずっと先輩に面倒見てもらう必要もないかな。

――なるほど。ずっと面倒を見てあげる必要はないし、見てもらう必要もない。子離れ、親離れの話にも似てますね。





懐いてきてくれたら可愛くて仕方ない。
なんでもやってあげたいと思う。



――ところで後輩に必要なものってなんでしょうか?

基本的なことだけど、挨拶と言葉づかいですね。挨拶も伝わるように挨拶しなければしてないのと同じだから「本当にきちんと相手に伝わる挨拶をしなさい」とは後輩に言いますね。会った時にきちんと「おはようございます」が言える子を嫌う人なんかいないと思うんです。それができれば、どこにいっても可愛がられる。

――笑顔で挨拶されたら、それだけで好印象です。距離が近づく最初のきっかけですね。

ね。可愛がってあげたくなるじゃないですか。



――ですね〜。可愛がるといえば高校生レスラーのつくし選手と仲良しですけど、どうして面倒を見てあげたいと思う対象になったんでしょう?

そうですね、あの子が懐いてくるからですかね。懐いてこられたら可愛いですよ。藤本も慕ってくれるけど彼女は大人だからね、抑えた感じで地味に懐いてくれる(笑)。つくしは子供だから、まっすぐ。会場で会っても真っ先に飛んできて「おはようございます!」って言いにきてくれる。

――ここでも挨拶が。

向こうから来てくれたらうれしいですよ。それで可愛いなってなったら、先輩は何でもやってあげたくなると思う。

――挨拶からつながりができて、後輩が頼ってくれて、先輩のほうに母性が生まれるんですね。なんだか理想的な流れです。

わたしも五紀さんのドロップキックが素晴らしいと思ったから自分で「教えてください」とお願いしたんです。本当に手取り足取り教えていただいて。そんな風に後輩の面倒を見たのはわたしだけだったって後から聞いて、本当にうれしかったです。だから、後輩たちには好きな先輩を見つけて、どんどん甘えていってほしいんです。

――憧れる先輩がいて、いつでも頼れたら、後輩としてはこんなに心強いことはないですね。

今は女子プロレスは団体が細かく分かれていて、先輩の数が少ないんですよね。もし違う団体に好きな先輩を見つけられてもその先輩に教えてもらうことができなかったり。そういう時代だから、わたしたちの時代より後輩は大変な部分もあるでしょうね。

――少人数の会社で先輩が1人か2人しかいない職場もきっとありますしね。他の部署でも違う会社の人でも、何かしら素敵な先輩だな、と学べる部分を持った人を探し出さないと。後輩は自力で探すんですね。大変だ。

そうですね。プロレスの付き人制度も誰が誰に付くかは会社が決めるんです。だから、まずは担当になった先輩を見習うとかね。わたしはそこで五紀さんに付いていこうと決めて、すべてを吸収して、次は自分が五紀さんを尊敬していたように、尊敬できるような格好いい先輩になれたらいいなと漠然と思ってました。やっぱり格好いい先輩でいたいです。

――格好いい先輩でありたいと思うことと、良い先輩と思われたいの2つは似ているようでずいぶん違いそうですね。特に意識してることはありますか?

先輩だからって偉ぶる必要はないなとは思ってました。自分が新人の時、威圧感のある怖い先輩もいたんで…。こういう先輩だったらいいなという先輩を自分でやってる感じですね。あとは、んー思いつかない。あんまり細かいことは考えてないですね。付き人になった後輩は同僚から「いいなー」って言われてたみたいです。私は楽だから(笑)

――楽でいいというと誤解されそうですけど、豊田選手の付き人をしていた方たちって、スターダムの高橋奈苗選手(キレイファイター第一回ゲスト)をはじめ、エース格の選手ばかりですよね。山崎五紀さんから豊田選手、その下の世代もエースになるってことは、ずっと良い先輩の家系とも言えますよね。

そうですね!(ニッコリ)

――奈苗選手もどこかで豊田選手がそうだったから、自分のことは自分でするって書いてました。それって「こうしなさい」と教えたことじゃなく、これは良いことだと後輩が自ら選んで真似してるってことですよね。代々、受け継がれてる。みたいな。

そっか…うれしい…うれしい可愛い、ほんとに後輩は可愛いです

――そんな豊田先輩に出会えた後輩の方々も幸せですね。世代もどんどん変わっているし、全ての後輩たちと関わることは難しいとは思うのですが、会場で見かけるくらいで触れ合う機会のない後輩でも、可愛いですか?

うん。でも、挨拶しない子はきらい。

――あ、なるほど。先輩と後輩に必要なものはまずは挨拶ですね!そして後輩のみなさん、どんどん豊田先輩に頼って甘えちゃってください〜〜!





豊田真奈美(とよたまなみ)
1971年島根県生まれ。1987年全日本女子プロレスからデビュー。1990年に総当たりシングルリーグ戦のジャパングランプリにて優勝、デビュー3年目にしてシングル王座のベルト挑戦し驚異の新人として大注目される。空中戦を得意とし「飛翔天女」と呼ばれる。全女時代にはシングルリーグ戦、タッグリーグ戦の両方で最多優勝記録を保持。2002年からフリー。30人掛け試合の敢行や自身の周年興行で全5試合に出場するなど、独自のプロレスセンスを持ち合わせ今もなおスターレスラーとして活躍している。


















 
| キレイファイター | 11:02 | trackbacks(0) |
【キレイファイター】(8)SAKI選手に聞く、ヒーローになりたい☆
第8回キレイファイターは、神取忍選手率いるLLPW-Xに所属し、アイドルレスラーユニット「ブリバト♡」として活躍する「さきっぽ」ことSAKI選手の登場です。デビュー2年目の若手でありながらメイクもヘアカラーもピアスの数もタトゥーも、ダントツ目立ってるおしゃれさん。好き勝手にやり散らかしそうな風貌とは反対に、目指すは「子供たちのヒーローになること」だという彼女に、自身のヒーロー感について聞いてみました。
(※会話の中に何度も出てくる「ズ」はSAKI選手の口癖です。びっくりしたり、納得したり、溜息ついたり、そういう様々な感情を表現するマルチカードだと認識してお読みください)



プロレスは「コスチューム!!!」
って感じで着替えるので
すごく変身してる感があるんです



――ブリバト♡の試合はデビューの頃から拝見してるんですけど、SAKI選手もMIZUKI選手も最初からちょっと他の新人とは毛色が違いましたよね。コスチュームもいきなり可愛いし、MIZUKI選手は腰まである黒髪が正統派アイドル、SAKI選手は新人らしからぬ金髪にこなれたメイク。まるで「レスラーらしくない」。

む!あたしたち、2人ともプロレスを知らずに業界に入っちゃったんです。ブリバト♡のオーディションの内容が「プロレスが得意な歌とダンスができるユニット」で、これプリキュアとかに似てるじゃん!と思って入ったので、プロレスラーらしくありたいって思いはあまりないのかもしれないです。小さい頃は夢の中でいつもセーラームーンになってたので、強くって、可愛くって、歌って踊れる、それがあたしの中の最強なんです☆



――プロレスを知らないままレスラーに???これまた異色ですね。

いつも、みずぴょん(MIZUKI選手の愛称)と、2人でプリキュアみたいになりたいねって話してるんです。自分も小さい頃、可愛くてカッコいい人に憧れてたので、そうなりたいんです。「近い人」になりたいという思いもあって、大きなステージに立ってたくさんの人がワーっていたら嬉しいですけど、でもどっちかって言えば相手の顔が子供たちの顔が見えるところがいいなと思っていて、自分が考えている距離感はアイドル活動もプロレスもつながってるかもしれないです。

――プロレスもアイドルもみんな日本武道館や東京ドームを目指すものなのに「相手の顔が見えるところ」だなんて、意表をつくなーこの人は。意表をつくと言えば今回のテーマ、もともとSAKI選手の「ヒーローになりたい」という発言そのままなんですが、自身のデビュー曲の振りの中でスぺシウム光線出してますよね。この人けっこう本気だな、変わってんなと思いました。

ええー!ズ!だってプロレスとアイドルとヒーローって近いんですよー。しかもプロレスは「コスチューム!!!」って感じで着替えるので、一番変身してる感があるんです。

――確かに新日本の棚橋選手も仮面ライダーが好きすぎてライダー的コスチュームだし、NOAHの丸藤選手も被り物がどんどん増えてますけど。

やっぱりヒーロー目指してる人って多いと思うんですよ!!!

――いやいや、おふたりとも男子レスラーだし。女子レスラーで堂々とヒーローになりたいと言ってる人、見つからないですよ。そもそもSAKI選手にとってヒーローって、どんな存在ですか?

悪いことされた時に助けてくれる人ですかね。『アンパンマン』はすぐ飛んできてくれるし、『セーラームーン』も平和な街を襲う妖魔から守ってくれるし。その人にとってヒーローって違うので一概には言えないですけど、『ドラえもん』ものび太クンにとってはヒーローだし、『キテレツ大百科』のキテレツも友達みんなにとってはヒーローじゃないですか。『こどものおもちゃ』の紗南ちゃんも大好きだったんですけど、彼女もいつも友達のこと考えてて困ったらいつも助けてくれる。好きなアイドルがいたら、それも自分にとってはヒーローになりえるし。「あの人に会えるから頑張ろう」って。自分の中にいろんなヒーローがいるんです。

――確かに、ヒーローってひとくくりにしてしまいがちだけど、いろいろなタイプがいますね。では、それらのヒーローに憧れて今がある?

もう1人というか、もう1組、小学校の時から中学校高校と憧れ続けたヒーローがいるんですけど。あたしの小学校時代のヒーローが『野猿(やえん)』なんです。



――え!意外!すごい意外!!!『とんねるずのみなさんのおかげでした』の番組スタッフで結成された音楽ユニットですよね!?

野猿って同世代のサラリーマンのヒーローだったじゃないですか。普段は別の仕事をしてるおじさんたちなのに、頑張ってダンスしてる姿にきゅんとしてしまって♡小さい頃はアイドルになりたかったんですけど、野猿に出会ってからは裏方になることにしたんです。吉本の学校を出たんですけど『みなさんのおかげでした』のスタッフになりたかったので、その制作会社の募集が来るまでずっと待ってました。フジテレビの社員食堂で働きながら。

――えええ〜、根性あるなあ。もう、そこしか行く気はなかったと。

はい。で、その制作会社の仕事が来て受かったんですけど、「おかげでした」ではなく『おはスタ』のADになりました。当時関東ではまだ無名だったエハラマサヒロさんが爆笑戦士として出演してたんですけど、小学校に行くと子供たちがすごい喜んで、ギャーギャーギャーってすごかったです。ほんとに子どもたちに人気者のエハラさんなんですけど、ADたちのことも楽しませてくれるんです。収録中なんですよ、その一瞬のカメラが自分を映してない時にADに面白い顔してくれるんですよ。当時やっぱり寝てないし疲れてるしだったので、あたしたちのヒーローでしたね。

――疲れてて心折れちゃいそうな時も、そういう助けがあるから頑張れる。

ほんとにそう!そんなエハラさんを見て、番組が終わった頃には「わたしはやっぱり出る側になりたかったんだな」と。そこで会社に辞表を出すんです、ふふ。子供たちの番組に関わって、目の前で本当に子どもたちが爆笑戦士にワーってなるのを見てしまったので、その時子供のヒーローになりたいなーと目覚めた気がします。でも、友達が言うには「ちっちゃい頃から自分のこと「さきちゃんマン」って呼んでた」って。自分ではあんまり覚えてないんですけど(照れっ)



人の役に立ちたいと心で思ってても
「なにカッコつけてんの?」ってなるから
行動に起こしずらいんですよね



――アイドルだったり、さきちゃんマンだったり、誰かの助けになりたいって気持ちだったり、遍歴はいろいろでも実は正義感への憧れがブレてない。しかも、大人になった今(さきっぽは26歳)もヒーローになりたいなんて、純粋すぎてびっくりです。今どきは小学校高学年になると正義感が実は損な役回りであることや儲からないことも、気付いてる子供いると思うんですけどね。

はええええー、なんでっ、そんなこと言うんですかぁっ!!! 夢がない!ズ!やだ、やだー、そんなの(泣)

――そんな時代来てると思いますよ。だって、お母さんお父さんが正義感に対して冷めてたらだめでしょう?「○○ちゃんはウルトラマンになりたいんだ?がんばれ☆」って言ってくれるかなあと。そりゃ、言ってあげてほしいですけど。

ええぇぇ〜、ほんとですか?ないない。信じないー。



――そもそもヒーローになりたい人が少ない気がするんです。SAKI選手が話してたように魔法少女や戦隊じゃなくても、誰もが誰かのヒーローになれる可能性があるんです。でも、時間はないし疲れはたまるし、損得でモノを考えてそれを声高に言うことが良いとされる風潮もあったりして。「人の役に立つ」ことは必ずしも報われないし、自己犠牲は伴うし、地味な場合も多いんですよね。反対に「役に立ってる感」は、自分の爪痕を残してナンボだし、ここぞのアピールに使えるし、無駄なく見返りがある方法を選びたくなるかなあと。

確かにヒーローって疲れちゃうこと多いですもんね。見返りないですもんね。わたしだけじゃないと思うんですけど、日本人の人って、人の役に立ちたいと心では思ってても「なにカッコつけてんの?」ってなるじゃないですか。そう思う人がめっちゃ多い。小学生の頃はまだ少ないけど、中高になると多くないですか。だから、やっぱり思ってても行動しずらいってところもある気がします。だから、その中で純粋に人のために役に立つことができてる人はすごいんです。うちの団体は、けっこう被災地やほかのボランティアを熱心にしていて、ブリバト♡も一緒にお手伝いするんですけど、普通の会社に入ったらそういうの少ないだろうなとは思ってます。3月11日には毎年「行くぞ!」って、街頭に立つんです。今年はわたしは新宿と新橋に行ったんですけど、それって実はすごいことだなって。あたし1人では絶対できない。

――そばにいる人生の先輩が人の役に立つこと、カッコいいことをしに先頭に立ってくれる!それ素敵です。でも、みんな、きっとそういう気持ち忘れちゃってるんだろうなぁ。正義感は心の支えになりえるものだけど、反対に夢や正義感を持っていることで、今の生活が生きずらくなることもありそうです。

ええ〜、でもそんなのって。わたしはそれ持ってないとダメです。たまに分かんなくなっちゃうんです、普通に生活してると…。

――ヒーローになりたいSAKI選手がそうなら、お勤めしているみんなはもっと分かんなくなっちゃうと思います。

あの、子供たちのヒーローになりたいんですけど、でも、同世代の人にとっても、そういう存在になりたいんです。「できんじゃん。まだ、自分できんじゃん」みたいな。社会に出て何年もするといろいろあって、でも、まだできるって20代後半の同世代の人は思ってるだろうから。たとえばわたしは体育の授業はサボるし部活も入んないし、そんな人間が今プロレスやってる、できてるってことも何かの力にならないかなとか。ああ、でも、それだけじゃなくて、変身したいからなぁ。変身…うー。

――急に「変身」が出てきたところで少し突っ込んで聞いちゃいますけど、リングの上から夢や元気を与えることってレスラー全員やってると思うんです。でも、実際にヒーローになりたいSAKIとしては、どんな活躍をするのか、どんな風に人の役に立ちたいのか、具体的なところはどうなんでしょう?

わたしが描くヒーローは何をするかってことですよね?どんなこと…どんなこと…。ふえー、ムズカシイ!

――たとえば、おばあさんが重たい荷物持ってて横断歩道が渡りきれずに大ピンチ!な時に、あたし今レスラーだし片手で担いでホイホイホイ―♫みたいな。

エッ、だって片手で担げないし…。

――え!どしたどした???

ううーー。呼ばれたら飛んでくくらいしたいですけど。ほんとにどんな些細なことでもいいんです。ただ元気がないから喋りたいとか、そんなんでも…。でも、練習とか仕事もあるし、実際飛べないし…。ああ〜、やっぱり変身しなきゃ。

――やっぱり変身?どうして変身しなきゃいけないんですか?でも、SAKIは元気で明るくて目立つ存在で、物語にありがちな普段冴えない女の子じゃないから、変身なんてしなくてもいいじゃないですか。

えええぇぇぇ〜、冴えないですよぉ。なんもできないもん。練習やプロレス教室(女性限定プロレス教室の先生もしています)の時なんて100%スッピンだし…。

――スッピン関係ないでしょう〜。あれですね、外見の雰囲気から行動力があって後悔なんてしない女の子だと思ってたんですけど、すこし違うんですね。「本当のわたし」を探してる。今のわたしは理想からは遠くて、なんにもできてない、これは違うの、もっとできるはずって。変身できたら、飛べたらきっと!どんな女子でも持っている変身願望なんですね。

え!?ズ!

――でも、目の前にいる「さきっぽ」のままでもヒーローになれるはず。

あの……こないだの、広島の土砂崩れの時に行方不明の方のニュースを見ていて、まだ娘さんが行方不明のお母さんが「生まれたままの体で出てきてほしい」って言っていて。考えたらすぐに分かることなんですけど、生まれたままの体で出してあげることさえ難しい状況なんだっていうことに気づいたんです。瓦礫がある現場だからショベルカーを使うし、使わないと早期発見は難しいし…。でもたとえシャベルやスコップでさえ体にささっちゃう。自衛隊の方々も早く見つけようと頑張ってくれてるんです。でも、もし、自分がその場で大切な人が見つかるのを待っているかと思うと、なんというかやるせない気持ちでいっぱいになってしまって…。そんな時に自衛隊の人がいなくなった後の深夜から朝方に手で掘って探してる方々がいらっしゃるというお話を聞いて。それって家族の方たちにとってはスーパーヒーローだと思ったんです。

――ですね。

立入禁止の場所だからほんとは入っちゃいけないところだし、ほんとはやっちゃいけないことかもしれないけど、それを聞いてめちゃめちゃ感動して。捜索活動を必死に頑張ってくださってる自衛隊の方のことも尊重してるし、なによりも同じ気持ちになって行動を起こしてる人がいるってことがご家族の方にとってすごく心強いことだと思ったんです。人の気持ちに立って行動を起こせるって、すごい勇気だと思います。本当にヒーローと呼ぶ以外ない。

――ルールを破ることだと知っていながら、それでも「これは助けるべきところ」だと、自分で判断して動ける人たち。使命を感じた瞬間に誰でもヒーローになるのかもしれないですね。



思っていることを行動に移すのは
当たり前じゃない
むずかしいんです



――お話聞いてると、ヒーローになろう!という元気な気持ちと、どうすれば?という悩みとの間を行ったり来たりしてますね。

いろんな葛藤があるんです。たとえば、喧嘩してる子たちがいたら喧嘩を止めたいけど、そこであたしが悪いほうをやっつけるとしたら暴力になっちゃう。それならいじめてる相手を後ろからおさえて、やられてた子にはやり返していいんだよって言ってあげたいし、いじめっ子には君がしたのはこういう痛みなんだよって知ってほしいし。



――マジメ!マジメすぎ!紗南ちゃん(こどものおもちゃ)なんて、いつもぶっ飛ばしてたじゃないですか。わたしだって全然やり返せばいいと思うもの。暴力ふるわないでとか、そりゃ考えすぎですよ。変身したいなんて言いながら、実は地面に足のついた地味なこと考えてる。

あら!え?ズ!

――助けてって言われても一瞬で飛んでいけないことのもどかしさや、心では思っていても体が動かないという葛藤が、より拍車をかけて動けなくなっちゃってませんか?

思ってるんだったら「やればいいじゃん」て言われてしまうけれど、思っていることを行動に移すのって、ほんとにすごいことだと思うんです。それができる人がすごいんです。当たり前じゃない、むずかしいんです。

――なるほど。行動できないっぽい雰囲気が伝わってきますね。「いつかしたい」「これがしたい」って話がなかなか出てこない。まだ言葉になってない。今の自分がどんなに未熟であれ、あれがしたいんだって言ってしまっていいと思うんですが。

ブリバト♡のSAKIとしてしたいことと、普段のさきっぽとしてしたいことと、そこも考えちゃうんです。でも、たとえばセーラームーンは美少女戦士の時はキラキラ戦ったり、キラキラ歌ってるところもありつつ、変身してないときは地味にボランティアしててもいいですよね。

――いいですよ!むしろそうでなくっちゃ。

憧れられる存在に…なりたいんです。なりたい。

――「憧れる側」から「憧れられる側」に、その入り口に立っていいよ☆と選ばれた存在であることに間違いないです。でも、ヒーローストーリーで言えばエピソード0なんですよね。まだ、覚醒してない。覚醒前夜なのか、もっともっと前なのか、それも未知。だからこそ、今はなにもできないと言ってる女の子が踏み出す一歩はとてもキラキラしてると思います。楽しみです。





SAKI(さき)
1988年千葉県生まれ。井上貴子プロデュースのアイドルレスラーオーディションにて約200人の中から選ばれ、MIZUKIとともに「ブリリアントバトルガールズ♡」を結成。2012年12月29日LLPW-Xからデビュー。LLPW-Xと我闘夢舞を主戦場として活動する。10月11日に両国国技館大会を控えている。

ブリバト♡オフィシャルブログ
http://www.diamondblog.jp/llpw-x/buribato/



 
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【キレイファイター】(7)李日韓レフェリーに聞く、ほどよく夫を心配するには<後編>
世の奥様方、お待たせしました!ほどよく夫を心配する方法を探る巻、後篇です。今回は、世界的にも有名なデスマッチレフェリーである彼女のお仕事にもスポットを当てて、レフェリーやデスマッチの話もすこし。そこからつながる(?)夫を心配しなさすぎはどうなんだろう、というとこも最後までじっくりお楽しみください!



レフェリーは試合がどれだけ面白いか
お客さんに伝える役割なんです



――ところで、プロレスはあれだけ痛い技を出して受けておきながら「怪我をさせないしない選手が一流、自身が怪我しやすい選手は二流、相手に怪我をさせる選手は三流」などと言われたりして、他の格闘技とはちょっと変わってますよね。

レスラーは、そのために毎日毎日トレーニングをしてますね。だからわたしもいつも、リングに上がると「しないさせない怪我だけは」とは常に思ってます。工事現場の安全第一と同じですね。



――なんだかレフェリーは選手を守る存在みたいですね。実際、守っているんでしょうか、または見守ってる?

見守っているというか……試合はもちろん見てますけど、どちらかというとお客さんが楽しんでるかを見てますね。あんまり笑ってないな、楽しんでないなって時は「この試合楽しいでしょ?」っていうのをわたしがが伝えないと、つまんないから携帯見ようってなっちゃう。レフェリーは、この人こんだけ痛い思いしてるよ!この人辛いけどギブアップしなかったよ!ダウンカウントぎりぎりで立ち上がったよ!この試合面白いよ!この人が勝ちましたよ!って伝える役目なんです。

――え!そうなんですか?レフェリーがそういう役回りだったなんて初めて知りました!どうりで皆さん個性豊かなはずですね。日韓さんも個人的はすごく変わったレフェリーだなあと思ってたんです。他のレフェリーと違って、選手からものすごーく離れて試合みてますよね。基本がロープ掴んで端っこにいるし、すごい痛そうな顔したり、顔そむけたりとか。「はわわわぁぁ」って、大変だ大変だって表情になってるのも何度か見ました。(笑)

昔、選手がブレンバスター合戦をしていて、相手を投げるときにバランスを崩してあたしのところに落ちてきたんですね。「やばい、逃げなきゃ」と思ったんだけど間に合わなくて、あたしのふくらはぎのところに2人が落ちてきたんです。それで肉離れを起こして、そのまま泣きながら試合裁いたことがあって(涙)。他にも足を踏まれて骨折したこともあって、130壼咾瓩舛磴いんなと思って、選手から離れぎみのレフェリングになりましたね。。あと自分が引いていたほうが記者の方たちが写真を撮りやすいだろうと、そこは気にしてます。邪魔にならないよう、なんとか小さくなろうとしてますね(笑)。

――屈強な男たちがぶつかり合う中でレフェリーしてるんですもんね。いやはや、すごい!しかも、日韓さんは国内でただ一人の、世界的に見ても稀有な女性のデスマッチレフェリーですよね。痛そうなアイテムが飛び交ったり、飛び散ったり、大変ではないですか?



あたし、目の前で指さされると、相手の指先折り曲げるくらいの先端恐怖症なんです。だから尖ってるものは苦手ですねぇ。ガビョウとか。しかも、どんだけ痛いか分かるので「あれ、痛いぞぉー、今日の風呂」とかね、顔に出ちゃう。デスマッチアイテムの中では、強化ガラスは当たった時にパッと散るのが綺麗なので一番好きですね。ただ、ガラスを浴びると夜に髪の毛を思いっきり洗えないんですよ。なので、なるべく浴びないようにとか、コンタクトずれないようにとか、手かざして顔そむけてる時は自分を守ってるんです。

――そうなんですね。試合中は、なんだかいろんなことが自然体に見えますけど。

痛さを知ってるからどうしても顔に出ちゃうんです。でも、知らなかったらウソの顔になってしまうし、ウソはねお客さんには伝わらない。デスマッチの試合では、レフェリーのあたし自身が「あれは痛いっ!!!」「あれは大丈夫!」って思いながら裁いてます。「あれは心配!」ってものは急いで選手からどけることもあります。蛍光灯の破片も大きいのは危険なので、ゴキブリ見つけた人間みたいに踏み潰しに行きますね(笑)



ある日言われたんです
「お前はみんなのことは褒めるけど
俺には何も言ってくれへん」って



――話を夫婦の関係に戻したいのですが、前編では「つい心配しすぎる、世話を焼きすぎる」がテーマでしたが、今度は「心配しなさすぎはどうなのか」についてお聞きしたいと思います。お子さんがいる家庭の奥さんに多い気がするのですが「夫のことは気にならない」「夫はどうでもいい」なんて声を結構聞くんです。わたしは気にならないという状態が分からないです。

いるのが当たり前とかね、言いますよね。よく空気みたいな存在なんですって、絶対それないからって思いますけどね。空気の存在の人に文句言わないでしょって。むしろ必ず「いる」って気配を出してくれないと、一緒にいる意味ないですし。

――「存在が気にならないほど自然」という理想の関係の意味なんでしょうけどね。でも旦那さんが「空気みたいな存在」なのだとしたら、それは旦那さんが相当優しい大人しい人ですよ。文句言わないけど、文句言われてると思いますね。「夫のことは気にならない、どうでもいい」という奥さんも、多分そうなるまでは口うるさく文句言ってた気がするんですよ。でも、例によって(前編を参照)相手の性格や癖は直らないわけで…。



女の人は彼が(夫が)は全然変わらないって、ずっと愚痴っていたりしますね。でも、悪い所だけじゃなく、相手の良い所にももっと目を向けないといけない。まず、今の性格なんて直んない。ウチは一番直してほしいけど直らないところは伊東さんのお母さんに電話するんです。お母さんにチクるのが一番です。「あんたが産んだ子やろ〜」みたいな。この子はこうでこうで、全然直さないですよって。それから「お母さんに今チクったから、はい」って電話変わる。で、怒られてザマミロって☆

――それいいですね。悪い所に執着しないですむかも。グチグチ同じ小言を繰り返すだけでは直らないし、そのうち相手のことを諦めてしまうのかもしれないですね。あの人は全然変わらない変わらない、じゃあもういいわ。勝手に手を放してしまう。そのあと男の人はどうなるんでしょう。

変わらない変わらないって思っていた彼が、その後もし変わることがあるとしたら、そのときは多分お別れになっちゃいますよね。「(僕には結局)君じゃなかった」って。

――ああ…。厳しいことをおっしゃる。でも、その通りかもしれないですね。男の人ってなんだかんだ自分のこと見続けてほしいと思ってるし。

男はみんなマザコンですからね。心配するにしても、心配しすぎないにしても、相手の良い所とあかん所と両方知らないとなんですよね。悪い所はほっといて良い所だけ見つけましょうとか言ってるテレビあったんですけど、悪い所見逃したら、それお別れの原因になりますから。

――悪い所見逃しちゃうようになっちゃう人、結構いると思います。夫婦だったら、それって「旦那さんを気にしなくなる人」のタイプじゃないかと。もう知らない、面倒くさい、自分で勝手にやって、って。でもたとえば体調の悪い時や悩んでいる時に悪い癖が出ますよね。そこに気付かなくなるっていうのは、いつか離婚する原因になる気がしてます。

悪い所は見逃すんじゃなくて受け入れる。相手の悪い所を受け入れて、その倍良い所見つければいいと思うんですよ。

――「見逃す」と「受け入れる」の違いは大きいですね。難しそう〜。良い所を見つけるのも、長年夫婦やってると案外難しそうです。見つけて、それからどうしたらいいでしょう。

ある日、伊東さんに言われたんです。「お前はみんなのことは褒めるけど、俺には何も言ってくれへん」って。今までは彼を誉めると「旦那だから」って思われるの嫌やったんで、近すぎて逆に言えなかったんですね。でも、言ってもらって初めて気付いて、ここ一年、一日一回は良い所見つけて声かけるようにしてるんです。些細なことなんですよ。それでも、男の人ってこんなに変わるんだっていうのは、すごい実感してます。

――結婚1、2年目ではなくて10年以上経ってから?それは、ずっしりと伝わってくるものがありますね。ご主人のほうから長年思ってたことを伝えてもらえたっていうのもタイミングなんでしょうね。「こうしよう」という決め事ではうまくいったか分からない。10年経った今だからこそ、そのやりとりができたっていう気がします。まさに「今受け入れる余裕ありますよ」って雰囲気があったのかもしれないし。

言ってもらえてよかったなと思います。お別れしてから良い所に気付いたりということになってしまうこともあるし。実際、知り合いの『バツイチ倶楽部』では、みんな別れてから元の奥さんの良い所を見つけてて、別れる前の倍いいとこ見つけてますからね。「なんで結婚してるとき見つけんかったの?」って。でも、そういうもんなんやなとも思います。




李 日韓(り にっかん)
1975年韓国・ソウル生まれ。1999年3月レフェリーとして大日本プロレスからデビュー。翌2000年8月よりデスマッチレフェリーとして活躍、以来300を越えるデスマッチを裁く。

李日韓レフェリーオフィシャルブログ
http://ameblo.jp/nikkanlee/
| キレイファイター | 00:34 | trackbacks(0) |
【キレイファイター】(7)李日韓レフェリーに聞く、ほどよく夫を心配するには<前編>
デスマッチという特殊な試合を行う団体として、世界的にファンの多い大日本プロレス。キレイファイター第7回目はそんな男子団体で紅一点、レフェリーとして活躍する李日韓(り にっかん)さんの登場です。壮絶な戦いが繰り広げられるリングで颯爽とカウントを叩く反面、時折痛そうな顔したり、顔をそむけたりと表情豊かなレフェリングが人気。グッズデザインや選手の送り迎え、若手の面倒などなんでもこなす、団体のお母さん的存在でもあります。ご主人は同団体のデスマッチファイター・伊東竜二選手。怪我や故障なども多い現場で選手たちを見守る彼女に、ほどよく夫を心配する方法をお聞きします。



大きな試合や
タイトルマッチがあるときは
4日くらいは口きかないです


――まだ新婚の夫婦はもちろん、長い付き合いの夫婦にもいろいろな悩みがあって、なかでも「心配」に関しては方法だったり塩梅だったりが難しい気がしてるんです。夫と妻で、互いの心配が噛み合わない瞬間のすれ違いって絶妙に嫌な感じなんですよね。日韓さんは現役レスラーのご主人とお仕事も一緒にされていて、単純に怪我や体調など奥さんとして心配ごとが多いのではと思われるのですが。目の前でご主人が怪我をするのを見るというのは心配ではないですか?




心配っちゃ心配ですけど、伊東さん(ご主人の伊東竜二選手)だけを過保護にはできないですし、みんな心配です。でも、リング上の選手って負傷や脳震盪で大変な時も気持ちは結構しっかりしてるんですよ。「続けます、大丈夫です」ってはっきり言うし、やるって言うなら最後までケツ持つくらいやらせてあげたいと思ってます。本当に危険や無理だと判断した時は止めます。

――そこはやはり100%レフェリーなんですね。

わたしが心配してしまうとお客さんが試合を楽しむどころではなくなってしまうので。でも、一度だけ、伊東さんが両腕を骨折したまま試合を続行したことがあって、そのときは特別な感情が出てしまいましたね。試合が終わってすぐ救急車を呼んでほしいと言われたんですが、ドラえもんみたいに手が腫れてオープングローブが外せなくて。ああもう手がダメなんだって分かったら、思わず涙が出てきてしまいました。そしたら伊東さんがものすごい形相で「泣くんなら控室帰れーーー!!!」って。お客さんの前で泣いちゃダメだって、泣きながら走って控室に帰りました。

――ああ、やっぱりそういうことも…。でも、どんなに心配でも試合を裁いているレフェリーとして心配そうな顔をするのはもちろん、泣くなんてもってのほかなんですね。同じ仕事の現場にいるから、気に掛けるべきこと、してはいけないことが分かりやすいですね。家でのご主人は世話が焼けるほうですか?

ウチ(伊東家)はですね、たとえば昨日、家の前で転んだって足血だらけで帰ってきたんですよ。バイク降りて止めて、段差気付かなくて転んだって。そのときは、あたしも心配しましたけど。基本ドジなんですね。

――それ分かります。何してんのーって思うけど、心配してもしょうがないことってありますねぇ。我が家(石井家)はお酒の失敗。洗面所のコップ割ってこっそり片してたり、朝起きたら右半身傷だらけだったり。自転車でずるずるーってバランス崩してブロック塀を、あれは何メートルかこすってましたね。結婚して15年ですけど、お酒に関してはもう無理かなーという気がしてきてます。

直んないとこをやたら心配してもしゃーない(笑)ウチは13年目ですけど、直らないとこはもうね。


――直んないですよねぇ、ほんとに…。ところで、我が家は自営業で2人で家で仕事をしてるので、仕事の進み具合でごはんの時間が変わったり、体調や気分で献立も細かめに変わるんです。日韓さんのところも仕事の内容を把握してる分、家で気を使うことも多くないですか?

ウチは同じ会社なので会う機会が多いと思われがちなんですけど、道場と事務所という風にいる場所が分かれていたり、巡業中も乗るバスが違うので、リングに上がる時しか接点がないみたいな感じなんです。なので、家でごはんを食べる時はなるべく会話するようにしてるんですが、大きい試合やタイトルマッチがある時は4日くらい口きかないですね。パソコンの部屋にこもって試合映像見たり調べものしたり、そういう時は話しかけないようにしてます。向こうも話しかけないでオーラが出てるし。

――すっっっごい分かります!ものすごいオーラ出してきます。雨雲が近づいてきたのかって思うくらいどよーんとしたり、寄せ付けない空気をまとったりしてきます!何の仕事で詰まってるのか分かるから、うおー、話しかけられない〜、夕飯は何時にすればいいんだーーーみたいになります。





同じ仕事だからこそ言われたくないこともあるやろうし。ウチの場合は、ひょっとしたら自分が伊東さんの大事な試合をを裁くかもしれないので、それならば「わたしはそっぽ向いとこう」と思うんです。そういう時期は「今日何食べる?」って聞くのもあれなんで、体重増えないようなのにして「今日はこれにしたよ」って。あたしからは話しかけないですね。話したかったら自分のこと呼ぶだろうし。そこでガシガシやっちゃうとサヨナラすることになっちゃうなーって。

――いやー、日韓さん大人です!わたしも同じように自分からは一言も話しかけない時期があるんですけど、何日か経つと我慢できなくなって「ずっと話しかけてなかったの気付いてた???」って野暮なこと聞いちゃう。

あたしもありますよ。「これからもう話さないから」って言いながら「あ、そこに饅頭落ちてるよ」なんて言われて「どこ?どこ、どこー?」ってすぐ喋っちゃうっていう。で、「お前には無理だよ」って。すぐひっかかるんですよ。「どら焼き落ちてるよ」とか。

――そもそも、落ちてないですよ!

落ちてないんですよー。そうなんですけど、昨日確かどら焼きあったなぁと思ったら、もしや!って(笑)



いろいろ心配するより、いっぱい寝る。
よく寝れるってことはお互いに
心に余裕があるってことなんです。


――女性はもともとがお世話焼きですよね。なんか「心配する」ことは、お世話を焼きたいのとイコールなんじゃないかと思えてくるんですが。

やりたいんですよね。なんだって言われてないのにやりたい。心配してあげたい。

――そうそう。「わたしがあなたを心配してあげたい」なんですよねぇ。他人事じゃないんですけど。いやんなっちゃう。

結婚した当初は、スポーツ選手の奥さんてどうなのかなって、本読んだりテレビ見たり、一応しましたねぇ。皆さん料理とか完璧なんです。ま、自分には無理や、こんなんできひん!て早々に分かったんでよかったですけど。自分も言われたかったんだと思います。「あの人よくやってるね」とかファンの人に。






――いい妻って言われたい気持ち、誰でもありますよね。いい妻って言われたいし、同時にやっぱりわたしがいないとって思いたかったり。

必要とされたいって気持ちですよね。「あなたがここにいるからこうなれる」っていうのをね。ウチは先輩たちより先に若手の頃に籍を入れたので、周囲に気を使うことも多くて。結婚当初は、あれもこれもしてみんなにちゃんとやってるって言われたいって、ちょっと一生懸命になりすぎてましたね。そのせいで伊東さんに対して「こんだけやったのにお礼ないのぉ?」とイラついてしまったり。

――相手のためのはずが、相手は置いてけぼりになっちゃってる。自分を評価してもらいたい気持ちが先に立ってしまって「心配してあげてるのに」「やってあげたのに」になっちゃう。でも、15年結婚生活を送ってみて、それは仕方がないことだとも実感してるんです。彼の会社のこと仕事のこと、どのくらい体調や気分の変化を我慢する性格なのか、今黙っているのは機嫌が悪いのか、すごくフラットな気分なのか、全然見えないですもん。で、どうしたの?ってなんでもかんでも質問してしまって、スルーされたりウザがられたり。この「見えない」をどうしたらいいのかなって。

そうですね。聞きすぎると言いたくなくなっちゃうんで、あたしに話したいっていうか、話しやすい感じにしてたほうがいいかなとは日々思ってます。今まであたしが「今日何してたの?お昼何食べたの?」って聞かないと教えてくれなかったんですけど、今は「静岡でこんなん食べてるよ」とか送ってくれるようになって。それはあたしの「見えない嫌なバリア」がとれたのかなと思います。

――見えない嫌なバリア?

相手のことが「見えない」と思ってて、聞きたい全部知りたいっていう空気、いわゆる束縛ですよね。で、いろんなこと心配してると、どんどん分からなくなりますよね。それより、むしろいっぱい寝ることが大事かなと思うんです。よく寝れるってことはお互いに心に余裕あるってことなんで、そしたら「今自分に余裕ありますよ」「話したいことあったら良いこともそうじゃないことも受け入れられますよ」ってオーラが自然と出て、そこから相手の態度も違ってくる。それは10何年一緒にいて実感してるし、少しずつ変わってこれたかなあと。






李 日韓(りにっかん)
1975年韓国・ソウル生まれ。1999年3月レフェリーとして大日本プロレスからデビュー。翌2000年8月よりデスマッチレフェリーとして活躍、以来300を越えるデスマッチを裁く。


李日韓レフェリーオフィシャルブログ
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藤本つかさ選手に聞く、「ポジション」のとりかた

キレイファイター第6回目は、中学生から40代までバラエティに富んだ面々で構成される女子プロレス団体『アイスリボン』の長女!と呼ぶのがぴったりな、きれいなお姉さん系レスラー・藤本つかさ選手が登場です。蹴り技、飛び技、グラウンド技のすべてが正確かつ的確。デビュー5年とは思えないほど数々のタイトル歴を持ち、月に20日以上試合をすることもあるほどの大人気っぷり。プロレスラーの他、キャプテン翼の作者・高橋陽一氏が監督を務める芸能人女子フットサルチーム『南葛シューターズ』のゴレイロや女優としても活躍するマルチプレイヤーでもあります。持ち前の反射神経とコミュニケーション能力で、どこにでも自分のポジションを確立できる彼女に、女子社会での「ポジションのとり方」についてお聞きします。



目立つグループにはいたと思うけれど
リーダーになるようなタイプではなかったです



以前、インタビューの際に里村選手が「女子は本当に横でしか比べない」とおっしゃっていて、とても衝撃的でした。女子は自分の居場所には敏感なほうだと思うのですが、欲しいけど何処か分からないし、選べない。選べないから身近な人と自分を比べてしまう…ということが少なくない気がするんです。結果微妙に気に食わない人が増えたり(笑)。藤本選手はいつでもどこでも本当に穏やかでにこやかで、どんな現場にいても、スッと馴染んでいる印象がありますよね。




多分、それは転校生だったからだと思います。親の仕事の都合で小学校4回変わっていて、新しい環境に馴染まなきゃいけないというのがあったので、そこからきてるのかなと。弟が2人いるので、引っ越したらまず3人で公園に行ってたんですよ。そこで友達つくって帰ってきてましたね。

――おねえちゃんで転校生でしたか。しかし4回は多いですね。

しかも、今思いだしたら保育園も幼稚園も違う県でした!保育園が八王子で、幼稚園は静岡。1、2年生は山形にいまして、3年生で米沢市の分校に行ったんです。全校生徒50人の。うさぎが51匹いて、新聞に載りました(笑)

――うさぎが1匹余っちゃうんですね。かわいい〜。

それから4年生で全校生徒1000人のマンモス校に移動になって、5、6年で宮城県に引っ越してきました。

――50人から1000人ですか!? クラクラしますね。

はいっ、訳わかんなかったです。急に増えた!って(笑)。

――わはは!50人から1000人の経験値は人並み外れてますね。さまざまな環境にすばやく慣れるという経験を本当にたくさんされたんですね。とにかく馴染む感が際立っていて、普通っぽいのに不思議な人だなと思ってたんです。ちなみに学生の頃は、どんなポジションにいましたか?

小学校1、2年生は足が速かったので、それだけで活発な子って印象だったと思います。授業中に手もよく挙げてましたし。3年生の時は50人の分校で学級委員をやりました。4年生はマンモス校で人がいっぱいいるのにびっくりして、ちょっと大人しくなりましたね。で、5年生で宮城に引っ越して、そこから赤面症になりました。

――思春期ですね。じゃ、大人しい感じのまま中学生に。

そうですね。そんな活発って感じでもなかったと思います。女友達とはワイワイやってましたけど。中学3年通してグループとしては目立つグループにいたと思うんですけど、1、2年生の時は「いただけ」な気がします。グループでリーダーになるようなタイプではなかったです。高校はパイロットスクールで文化祭や体育祭がなくて、有志の生徒で行事は作らないといけなかったんですけど、高2の時に「実行委員やります、なんでもやりますー」って子と仲良くなって、無理やり委員に誘われたんです。で、嫌々やってたらハマってしまって、仕切ることに目覚めた瞬間でした。

――自分だったら選ばない場所に人が連れていってくれることってありますよね。

ありますね!南葛シューターズでもドッヂボールで全国大会に行った話をしたら、「今、ゴレイロ(ゴールキーパー)いないんだよね♫」って、その場でゴレイロ決定。グランドを走りに走り回って華麗にシュートを決めるつもりでいたんですけどねー(笑)。




自分に同調してくれる相手は
「自分よりちょっと下」

ということにしてる人だと思います。



――思春期の中学生くらいの頃に、自分と友達の位置関係で悩んだことはありますか

中学の時は一番考えていた気がします。陸上部だったんですけど、リレーの選手は5人いて、でも競技に出られるのは4人なんです。毎回1人外れてしまうんですね。いつも一緒に学校に行ってた部活の子はわたしより足が遅かったのに、ある日の選抜で抜かされて…。陰で泣きましたよね、悔しすぎて。




――女子が気にする他人はポジションが被ってる人が多いものですが、仲良しで部活の種目も同じって、あからさまに目指すポジションが一緒ですね。しかも、たった1人だけ座れない椅子取りゲーム。自分が外されるのは悔しい気持ちでいっぱいだけど、逆の立場は複雑ではなかったですか?

正直、自分が外されることのほうがショックだったので、何がなんでもそこにいきたいって気持ちのほうが大きかったです。それは多分みんな同じです。レギュラー取りでいろいろあったけど、みんな「泣くときは思い切り泣いて」でしたね。

――仲良しだからこそ越えられたポジション争いかもしれないですね。爽やかです!でも、そこまで何かに打ち込めるのは当たり前のことじゃないと思うんです。みんなもうちょっと普通であるというか、やりたい気持ちはあるけどそこまで自分の情熱が向かないという言い訳を日常的に抱えていたり…。

正直誰にでもあると思うんです。もっときれいになりたいとか、今よりもっと上にいきたいとか。その「もっと」や「上」がどこなのかが分からないままだと思うんですけど。

――明確に見えていれば脇目も振らず、努力するだけなんですけどね〜。

女子は飽きやすいところも大きいですよね。

――確かに。ソフトな理想も、ステップアップしたいことも、口に出して言った段階で忘れがちかも。でも、ま、忘れちゃうのはいいとして、忘れちゃった後で他人のことが羨ましくなるのはなぜでしょう?自分よりちょっと上くらいの、ちょっと頑張ってる子が一番目について、ちょっとだけ文句言いたくなってしまうみたいな。で、1人じゃなくて2人で言い始めちゃう。

なんですかね、でもありますね。一緒に、なんですかね、自分と同じ気持ちの人を探して、そこに精神安定を求めてるのかもしれないですね。大げさに言うと同調を求めて安心してる。

――この時、同調してくれてる人は自分と同じポジションという認識なんでしょうか。

多分、この人だったら自分と同じ気持ちになるだろうって人にしか話さないと思います。否定される人とは話さないですし、もし否定されたら「あなたにはこの話難しかったね」っていう。

――ちょっと上から目線!? 否定する人は気付きがある人で、「あの子ちょっと○○だよね」という対象は自分より頑張ってるのに、なぜか上から目線になっちゃうんですね。

背伸びしてるんですよね、多分。気持ちだけ背伸びしてて追いついてなくて、必死なのかもしれないです。

――気持ちは焦ってるんだ。つまり、自分と同じポジションを探すことはみんなできるんですね!




できると思います。

――でも、そこが自分の居たいポジションかどうかってことは…考えてない?

どうですかね、周りを見る余裕もないかもしれないです。そして、同調してくれる相手は自分よりちょっと下の(だということにしてる)人だと思います。

――うわっ、また上から目線!!!!!? うわー、怖いことサラッと言いますねぇ。でも女子って上とか下とかは分かってますよね。性格はみんな違っていて、大人しい人もいれば気の強い人もいるのに、女子まるごと引いて見ると「マウントポジションとりたがる」ところありそうですね。

あると思います。男っぽい人でも絶対にあると思います。「出さないだけ」の人が一番あるんじゃないですかね(ニッコリ)。




昔誰かに褒められたことを思い出すと、
居場所につながる道が見えてくるかなって思います


――ところで、プロレスラーの方々は特にポジションどりが重要なお仕事ですよね。エースだったり、セクシーだったり、面白だったり、ストロングだったり。それぞれの性格や個性などが運動技術とあわさってファンを増やしていくわけですけど、今団体のリーダーとして後輩たちはどんな風に自分の居場所に向かっているように見えますか?

退団する人が出る度に、わたしは残された子たちに個人面談をしてるんですよ。「もし辞めたい気持ちがあるとかだったら一緒に辞めて」っていう風に言ってるんです。




――え?どうしてそんな厳しいことを?

何回もだらだら退団また退団てなると強調性が欠けてしまいますし、それよりは一気に辞めてもらったほうがいいと思っていて。で、残るという選手には今不安になってることはなんですか?不満なことはなんですか?やりたいことはなんですか?人間関係の中に悩みはないですか?と、それぞれ聞いています。モチベーションがちょっと低いですーとか、他の仕事とプロレスの両立がちょっと厳しいですーとか、お金が厳しいですーとか、結構いっぱい悩みがあって、実際みんないろいろ考えるなと感じています。

――個人で呼び出されるのはきついですけど、強制的に気持ちを吐露できることで楽にはなれそうですね。仲間にも言いにくいことあるだろうし。

女子プロレスでは、人気の子が出てくると自分が消えちゃうんじゃないかと怯える選手もいる。それも嫉妬の一部だと思うんです。わたしはそれをリングで表現するのが好きなので、わざと挑発するような対戦カードを組んだりします。

――あなたとあなたはライバルだよね?はいどうぞ、と。ぶつかることでモヤモヤ自体が消えたり、リスペクトに変わったり、化学反応が起こるきっかけになりますね。

普通では、ないですよね。

――ないんですよ。これは日常にはないんです!尊敬する存在になるのか、気の合うライバルになるのか分からない状態で「気になる、気になる、気になる」と感情が下向きにスパイラルしやすい。それを事前に舵取りしてくれる人がいるのは羨ましいですね。学校だと委員会や係を決めるときに、先生やクラス委員が舵取りしてくれてましたね。足の速くない子に「体育委員やらない?」って言わないわけで。

保健委員は優しい子でしたよね。自分の良いところとか気付かないけど、他人だったら見えるとこありますよね。

――わたし、こちらに来てお話伺うまではポジションて自分自身で決めるものだと思っていたんですけど、そう簡単なものじゃないんですね。

わたしも今の立場でそう言われてみれば、これやってあれやって、こんな感じの先輩になってと言ってたんだなと気付きました。意識的にポジション分けしてたわけじゃないんですけどね。わたし自身が友達や先輩や上司にしてもらってきたことなんだと思います

――きっと、どんなお仕事していても同じという気がします。同僚や先輩後輩がいて上手くやっていかなきゃいけないし、それには自分に向いたポジションにいないと居心地もよくないし実力も発揮できない。しかも、自分のポジション自体、実は何処にいても「ここ」で、人生を通して自分以外の違うポジションには行けないんですよね。藤本選手が自分のポジションを最初にイメージできたのは何時くらいですか?

わたしってここなんだなっていう場所ですよね。昔から文化祭とか仕切るタイプではなかったんですけど、その場にはいましたよね。なんだかんだで目立つのは好きなんですかね。高2で学校が楽しくなった時にそこは気付いてました。いやっ、結構もっと前からかもしれないです。

――記憶、よみがえってきました?

あの、転校生ってチヤホヤされるじゃないですか。それはすごく居心地がいいなって思ってましたし、一度だけやった学級委員も「ほんとはやりたかったんだ」って気持ちがありましたし。それから、小学5年生の時にこっそり芸能事務所に書類送ってたこともありました!事務所から合格ってきたけど、よくあるお金払ってレッスンという風になってやめたんですけど。

――「こうして藤本つかさのポジションはできあがった!」という歴史年表を見ているようです☆ いろんな人の助けをもらっていろんな時代を経て自分だけの場所が見つかるんですね。とはいえ、何歳になろうと環境が変わるたびに居場所には悩む瞬間があると思うのですが、ポジション探しのコツみたいなものはあるんでしょうか?

そうですね。迷ったら、昔誰かに褒められたことを思い出すと、今いる環境の中での居場所につながる道がいろいろできてくるのかなって思います。「ほんと子供と仲良くなるの得意だよね」って言われたら、年下の面倒見るの好きなんだなって気付いたり。なので、わたしもいいなと思ったら後輩をすごく褒めるし、それで気付いてくれればいいなって。

――うんうん。今、自分の褒められた記憶がなかなか出てこなくて困ってるんですが(笑)。

わたしもですね。いいことって意外と忘れちゃうんですねぇ。実際褒められる機会って少ないかもしれないし、良いと思ったらすぐ相手のことを褒めるようにしないとダメですね☆

――そっか。自分も褒められた瞬間の喜びや、その記憶がポジションの手がかりになるわけだから、誰かにとっての褒められた記憶を作っていかないといけないんですね。

うちの団体の後輩たちには、できないことができたら思いっきり褒めてあげたいです!今日もみんな上手に挨拶できたし!今も道場で練習がんばってるし!

――藤本選手、完全に思考が「先生」や「長女」のポジションに立ってますよ(笑)






藤本つかさ(ふじもとつかさ)
1983年宮城県生まれ。女子プロレスを題材にした映画「スリーカウント」出演のためにプロレス練習を始め、アイスリボンより2008年デビューする。同団体の不動のエースであり、リーダー。2011年7月には東日本大震災被災地を3日間巡っての興行「被災地キャラバン」を企画・実現させた。現在、第18代ICE×∞王座チャンピオン。


藤本つかさ公式サイト 
http://ameblo.jp/fujimoto-tsukasa/







 
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【キレイファイター】(5)米山香織選手に聞く、女子の優柔不断 -後編-
お待たせしました!優柔不断インタビュー、いよいよ後編です。リングの上では「速い!強い!元気!」な米山選手の、真逆なプライベートは優柔不断女子。前編にひきつづき、というより「ここまでか!」と、つっこみたくなるほどの決められないっぷり。この話に結論は出るのか出ないのか?どうぞ最後までお付き合いください。


やりたくないやりたい、っていうのじゃなく
「ああそろそろかな」って気がしたんです。


――ところで20代は夢や仕事などのやりたいことに無我夢中で、楽しいことにも辛いことにもまみれまみれて駆け抜けちゃうんですけど、20代も終わりになると、一旦いろいろやり尽くすというか、そこでハタと人生に迷ったりしませんでしたか?

わたし18歳で高校卒業してプロレスに入って、いつまでとか特に考えてなかったんですけど、30までには結婚して子供を産んで幸せな家庭を持ってるつもりでいて、でもなんか辞めずに30近くになって、なんか、あの、結婚して子供を産むなら30までがいいのかなあとか、親のこと考えるともう何年も心配させつづけて親孝行しなきゃなとか、世間体を考えてそろそろ結婚しなきゃなとか、思って、ま、なんとなくそろそろ辞めようかなって感じで辞めようと思ってたんです。



――すごい女子っぽいですね。以前に何かの記事で米山選手が引退を考えた理由として「いつまでも続けられない気がする」というのを見かけて、女子っぽさを感じてはいたんですけど。

なんか、もやっっとしてますよね(苦笑)

――「いつまでも続けられない気がする」っていうのは、20代で女子プロレスを引退している方の中にも結構いたんじゃないかと想像できます。

怪我がつきものなので、やっぱり辞めてからの今後の人生のほうが長いじゃないですか。だからまあ、元気なうちにとか、動きが落ちる前にとか、もやもやした、これっていう理由じゃなくてなんとなくな理由で辞めようとは思ってたんですけど。

――1つの区切りになる「30歳」という数字はどこから来たんでしょう。

ねえ、なんですかねぇ。分かんないんですけど、30の前、29歳あたりですごい焦りがあって、もう何に対しても焦りがあって「もう30になっちゃう、あの大台がきてしまう〜」って感じで。そのちょっと前にベルトも失って、アゴを折って、年齢も30歳くらいになって、いろんなことが潮時だなって感じでした。やりたくないやりたい、っていうのじゃなく、「ああそろそろかな」ってタイミングに見えたんですよね。それも、もやーっとしてるんですけど、はは。

――実際、結婚して子供を産んでと焦っていた29歳の時に、強い結婚願望ってありましたか?

なかったです!

――えええ〜〜〜!!!!

結婚生活に特に憧れもないし、ま、幸せそうな人見るといいなとは思うんですけど、別に結婚したい人がいたわけでもないし、子供も苦手だし。でもなんか、しなきゃいけないものかな〜って、またそれももや〜っとした感じで。すべてがもや〜っとしたまま決められず準備もせず。たぶんプロレス辞めてたとしても、結婚もしてないし子供もいないと思います。

――もや〜っとしていながら、最後は言い切り??? じゃ、じゃあ、結婚願望がなかったことはひとまず置いておいて、プロレス以外の人生への憧れはあったんですか?

んんん〜。ないです、なにもないですぅ。

――い、1個もなかったですか??? いやいや、なくてもいいんですいいんです。

うんー、これっていうのなかったですね。だから引退を決めたときも、辞めたら婚活して知り合いのとこで働こうかな、どこにしようかなぁって。これももや〜〜っと。ほんとだめですよねぇ。はは。


決めなきゃっていうより、あー決めたい!
決めたいっていうより、やりたい!って感じ。


――ところで、自分の優柔不断に気付いてから「優柔不断はなぜそんなに責められるのか」と気になって調べてみたんです。「優柔不断のメリット」「優柔不断の長所」「本当に優柔不断は悪いことなんでしょうか?」という率直な質問も幾つかありました。

あー、そうなんです。ダメだなぁと分かってはいるんですけど、そんなに悪いことなのかなあと思ってしまうことあります。良く言えば慎重派かなと思うんですけど…。



――評価低いですもんね。調べた中で「優柔不断型」と「直感型」の比較があって、直感型の人は、まず好き嫌いがすごくはっきりしている。「嫌、やらない」など物事を瞬時に判断できる。その時に考える時間をあまりかけない分、後で結果が違っていても後悔や未練がないらしい。それに対して優柔不断型の人は、好き嫌いがあまりない。間口が広い。その分選択肢が広くて悩みが増える。じっくり考えるので短絡的なことはしないけれど、考える時間をかけた分、結果が違ったときに大きく後悔することがある。とありました。

さっきわたしが言ってたのと同じですね!悩む時間が長いとあとで後悔する時間も長いみたいな。こうやって比べてもらうと、直感型も優柔不断型もどっちがどうとかないような。優柔不断てそんなに悪いことでもないんですかね!でもまあ、その、やっぱり迷惑かけちゃったりするし、うー。

――優柔不断女子にとっては、大きな何かを決めるとき、必要以上の重圧が掛かってしまう気がします。勝手に背負ってるっちゃそうなんですけど。それをどうしたら「決めなきゃ」と思いこまず、いい意味でもっとアバウトになれるのかっていうのは、個人的な課題でもあるんですけど。米山選手は大きな優柔不断の瞬間を経験されて、脱優柔不断を意識するようになって、「物事を決めなきゃいけない」って思う瞬間って減りましたか?

今、そうですね。決めなきゃっていうより、あー決めたい!さらに決めたいっていうより、やりたい!って感じなんですかね。あれやりたい、これやりたい。で、これも決めたいあれも決めたいって。前はやりたくないけど決めなきゃいけないとか、あんまり乗り気じゃない中での決断だったりして。今はあれもこれも本当に楽しいんです。


短い時間でパッと決めると
ダメージもパッと散っていくんです


――最後に優柔不断な人に「優柔不断で構わないですよ」というメッセージをいただきたいんですけど。

ハーッ、難しい。えっと、優柔不断て別に悪いことじゃない…と思います。真面目で慎重派なだけなので、優柔不断だからって優柔不断だから何か?くらい、言っちゃいたい。わたしも一部分が前向きの直感型に変わっただけで、今もいっぱい優柔不断なんですけど。面白いこと楽しいことやりたいなと思って、自分がやりたいことはどんどん決められるようになったので、嫌なこととかしたくないことって多いですけど、そういうことをいかに面白がってできるかって切り替えができたらいいかなって。



――いやなこと、やりたくないことって、ねぇ。

ありますよね。あと究極に迷ったときは一番初めに考えたことを選んでみると変わってくるかもしれないです。優柔不断の人は迷ったら自分の直感を信じて、一番最初に選んだことを試してみてもいいかなと思います。短い時間で決めると最後に後悔する時間も短かくて、パッと決めるとダメージもパッと散っていくんです。最近気づいたんです、これ。

――最近はファンイベントやら自主興行やら、シュッと決めちゃいますよね。むしろ早い!

優柔不断の反動なんですかね。早すぎるかなと自分でも思います。以前は何かを始める前や何かを頼む前に、まず最悪の事態を想定してたんですよ。これがこうなって、誰さんとかにナントカナントカって言われるなぁ。でも、こう言ってどっちにしてもナントカナントカって言って怒られるかなぁ。だからそう思ってればダメージは最小限に済むから大丈夫、うんうんって。

――準備万端というか、準備しすぎです。

そうなんです。それだけ想定しておいても「やらなきゃよかった」と後悔するんですよ。今は、ダメもとで大御所の選手の方に試合のオファーをしたりして、ダメだったけど、やってみてよかったってと思うことが増えました。ダメだったかぁ〜と思うんだけど後悔してない。なんか次につながるような気さえするんです。

――まさにダメージがパッと散ってる瞬間!

以前はすべてを相談してたんです。「どうしよう?」「どうしましょう?」って丸投げで自分の意見がなかったです。なくないんだけど、自信がなくてネガティブな気持ちになって出せなくて。今は「わたしはこう思うんですけど、こっちがいいと思うんですけど、どう思いますか?」って、何を聞くにしても、まず自分で考えてそれで聞いてます。なんか、楽観的に考えられるようになったんですね。「こっちがいいと思うんですけど、あれ?でもこっちかなあ〜」なんてことも全然ありますけど(笑)。その、優柔不断は…奥が深いですね☆

――そうなんですよ、わたしなんて一部分どころか、なんにも直ってなくて。

でも、直んなくてもいいんじゃないですか。ばんばさんも真面目なんですよ。

――おぉー。先輩からのお許しが。

あ、『楽観的な優柔不断』てどうですか?イチゴパフェとチョコパフェとどっちにしようかな?うーどっちにしようかな、どっちにしようかな、まいっかどっちでも☆

――食べらんないじゃないですか!しかも、結局、最後になっても例えがファミレスのメニューレベルっていうね。でもまあ、優柔不断の基本はファミレスのメニューに詰まってますよね。メニュー選びで煮詰まって悲しくならないように!明るく!

そうです明るく!わたしネガティブだネガティブだって言われるので、『明るいネガティブ』を目指そうと思ってるんです。ネガティブって後ろ向きな考えという意味だけど「暗い人」って意味じゃないじゃないですか。だから、明るいネガティブだったら別にいいのかなぁ〜と。

――なにか、この、何かを解決したような解決してないような!とりあえず横に置いたような楽観さは伝わってきますね。

深く考えすぎないほうがいいんですかね〜。

――深く考えはじめたら、途中で辞めちゃう☆ってどうですか?明るいネガティブとか、これかなり途中で止めた感じしますよね。今日はおしまいッ♪みたいな。明るいネガティブってなんだかわからないけど、そんなイメージで!(ここは自信たっぷりで!)

なんとな〜くでね♪



米山香織(よねやまかおり)
1981 年神奈川県生まれ。1999年JWP女子プロレスからデビュー後、数々のタイトルを取得し、その後フリーに。2012年にはタイ初の女子プロレス団体「我闘雲舞(ガトームーブ)」の旗揚げに参加する。現在3団体にレギュラー参戦する人気者。男子レスラー円華選手といっしょに「よねやまどか」という音楽ユニットを組み、あちこちでゲリラライブを開催中。

米山香織公式サイト

http://www.kaori-yoneyama.com/

 
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